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住む人の暮らしの実現のために設計力の強化を!

1設計の再確認

工務店はお客様に依頼されたとおりの家を建てるのではない。

プロの設計力を持ち、「プランニング力」「デザイン力」「プレゼン能力」を中心とした設計力をもってお客様に「住まい提案」を行い、お客様が納得した{暮らし実現の家}を建てるのである。

この設計力が顧客満足と受注力向上をもたらすのである。

 

それに加えて必要なことが完成した図面と完全な仕様書(設計図書)の作成である。

それを着工前に確実に工事部門に引継ぎをし、事前発注ができるようにしてほしい。

 

完成図書の完成と引継ぎが期限内にできれば経営が大幅に変わる。

生産性も利益もCSも高くなる。また現場監督の労働時間の大幅短縮ができ、働き方改革につながる。

 

設計の役割はとてつもなく大きい。受注力強化にも、工事力強化にも設計力が必要である。

今一度まとめる。

 

①設計者はお客様の願望実現・不満解消によるお客様の「家族の幸福の城」をつくらなければならない。

そのためには敷地環境調査を行い、最も敷地に適した住宅を建てねばならない。

 

②ヒヤリング技術に長ける必要がある。ヒヤリング内容に基づき、お客様の求められるものにぴったりのプランを作成せねばならない。お客様の限られたお金と土地でベストのものを提案する。

 

③そして、その住宅が美しくなければならない。10年経っても30年経っても町並みに映える美しい住宅デザインでありたい。

 

④お客様の「家族の幸福の城」実現のプランであり、美しいデザインの住宅が限られた予算と敷地の中で提案されれば、お客様は喜ばれる。

そのプランも心を込めたプレゼンテーションで説明されれば最高である。

 

⑤お客様の希望プランがまとまれば、詳細なプラン内容を詰める必要がある。

1/50の平面図と、できれば展開図(重要なところだけでも)も作成するべきである。

それに基づいて詳細の打ち合わせをし、確定していくことが不可欠である。

さらにしっかりと使用する材料を決めていく。

人間生活工学的見地での住みよいプランであり、人間がやすらげる住宅を確定させるべきである。

 

⑥確定したプランと仕様に基づき詳細の施工図を作成する(標準化されたものを活用することがベスト)。

⑦そして[完成した図面と完全な仕様書]の設計図書を着工前の決められた期日までに工事部門に引き継がなければならない。

 

⑧当然、着工前にお客様を含めた4者もしくは5者打ち合わせをして、最終確認をすることも忘れてはならない。

 

⑨工事中もお客様の満足実現のために確認をする必要がある。特にスイッチ・コンセントの確認は設計担当者が必ず立会い、その確認だけでなく、空間の再確認のためにじっくりと時間をかけて各部屋ごとの説明と確認をしなければならない。

 

⑩工事完成時にも最後のチェックをすべきである。

 

⑪設計力強化で絶対やるべきことは、引渡し1年後の住み心地満足度調査の実施である。

これをやることにより、お客様の真の満足状況がわかり、設計力強化と改善につなげていくことができる。

やることは多肢にわたるが、これが設計業務である。

組織・仕組みで絶対的に取り組んでほしい内容である。

 


2住まう人に健康 快適住宅の実現を

 

住環境は、時代とともに変わってきている。

断熱不足で部屋間温度差によるヒートショック、換気不足によるダニやカビの発生、新建材からのVOC発散による人体への影響などなど。

最近では家電製品や通信機器から発生する電磁波の影響という新たな問題も広がりつつある。

 

「住宅は生命を担保にして求められる家族の幸福の城」で、住宅は本来住む人が健康快適で、リラックスできる場でなければならない。

そのためにも住宅づくりに携わっている企業や人は、住まう人に健康快適住宅を実現する責務を持って対応してほしいものである。

 

次回から積算・工事について詳しく説明していく。

 

(2019年3月 25日 日本住宅新聞掲載)