CS実践事例紹介

 事例③ 株式会社波多野工務店様 時流をとらえ新たなチャレンジが進む創業108年の工務店

株式会社波多野工務店様は、大正2年創業の100年を超える老舗工務店です。

 

未来の社会課題の解決に向け「変化を予測した行動」をすることを重視され、すべての人が快適で安心して生活できる空間を創造し、豊かな地域の実現を追求する。をミッションに建設会社の枠を超えた取り組みとして、老人ホーム・介護施設紹介サービス「愛住まいる」、DIYPARK、不動産売買仲介「ウチカエル」事業など様々な先進的事業にチャレンジ。

 

最近、住宅産業塾会員の皆様でも実現に難航する場面がみられる「完成図書による事前発注」(着工前に完成図書を完備し、それによる設計から工事の引継ぎ、職人・業者への事前発注を徹底すること)を100%実施。会員の皆様からも注目されています。

 

 

 

少人数でも様々なチャレンジに取り組む

 

波多野工務店様では、住宅産業塾で強く推奨している業務改善の一つである「完成図書による事前発注」に取り組み、大きな成果をおさめておられます。

 

今まで「完成図書による事前発注」は、多くの企業でチャレンジしてきましたが、不完全なまま元に戻ってしまいがちなテーマです。それを克服し100%実施されている秘訣、またどんな成果がもたらされたのか、体験者である工事責任者の今川さんにお話を伺いました。

 

 


 

 

塾長

住宅産業塾では、お客様の信頼を得るためには、「完成図書による事前発注」が必須であると考えています。 実現に難しさもあったと思いますが、なぜ100%できているのか、お話しいただけますか?


 

 

今川

まず、自社はCSの高さが最大の売りですが、もともとは社員の業務改善が目的でした。 以前、監督が少なくて業務がたくさんあり、お客様にもご迷惑をかけることもありました。引き渡し後の残工事でトラブルも見られました。せっかく「魅せる現場」に取り組み殿堂入りの結果を出しているのに、残工事0の引き渡しができずお客様の不満をためてしまうのは本末転倒で、もったいない状況でした。
そんな時に、IT化推進も同時に進めていて施工管理システムを入れて業務改善は進めていましたが、まだ不十分でした。それに加えて「完成図書による事前発注」もマストとしてやっていこうと決めました。



お客様の要望をすべて受けることがCSと勘違いしていました

 

 

今川

社内で勘違いしていたのは、CSとはお客様の要望を全て聞くことだと思っていました。施工中も変更を許してしまうことで、大工の負担とかトラブルとかがそれを原因として発生したり。 「完成図書による事前発注」を進めているうち、それは間違っていたことに気づきました。むしろ着工前に図面も仕様も確定させることが良い施工にもつながり、良い家づくりとなることでお客様にとってのメリットになるということが分かりました。


 

 

塾長

会社だけでなく、お客様にとって有益であることに気づけたのは良かったですね。CSは奉仕することではなく、プロとして良い仕事をすること、そして良い仕事をするためには図面と仕様を事前に確定させる必要があるということですね。では、どうやって実践していったのかお話しいただけますか?


 

 

今川

まず、目標達成のために取り組む必要性については社内で意思統一ができたので、とにかく「まず一件やってみよう」ということになりました。営業・設計の協力を得て、物件数が少ないタイミングを選びやってみましたが、意外なほど問題発生せず、すんなりと出来ました。

やってみると、業務がスムーズに進んでいくことで業務改善効果が感じられ、職人・協力業者にとっても仕事効率が上がり、引き渡し後もトラブルが無く、CSに繋げることができたことに気づきました。

まさに、三方良しみたいな話を実際に経験できたことで、最初の一件で「完成図書による事前発注」をやればこんなにも良くなるものか、と社員が皆気づけたのが大きかったです。また、事前に各業務の標準化をしてきたのが大きく貢献してくれました。  

こんなに良いものであるなら、次からもやってみようという気持ちになることができ、その結果継続することができました。今では、逆にこれをやらないとダメじゃないか、という雰囲気が会社全体に生まれています。


成果は思わぬ分野にまで波及

 

 

塾長

最初の物件で気づけたのは大きかったですね。これを実現したことで、そのほかにどんな効果があったか、お話しいただけますか?


 

 

 

今川

また、最近受注が順調で物件が増えてきたことで、今まで自分のところの大工だけで賄ってきたが、新しい大工さんを入れる物件も出てきました。そのようなときに、うちは完成図書があるから図面も一式、金額も工程も、明快に説明ができます。着工時に完成図書のある会社がほとんどいない中で、新しい大工さんは驚きますし「仕事がやりやすい会社」と良いイメージを持って働いてもらえました。また、図面ができているので現場での打ち合わせ回数も激減しましたし、工事もしっかりできるということで、非常に助かっています。


 

 

今川

協力業者さんとのやりとりも手間が本当になくなりました。まだ絶対数は少ないですが監督の業務改善自体にも明らかにつながっています。現場に行く回数も大きく減り、事前打ち合わせできるので現場で話す時間も無くなり、変更もあまりないので図面差し替え等のトラブルもなくなりました。

あとは、それによって現場監督としてお客様と接する機会を増やすことができ、コミュニケーションができる。打ち合わせでなく、本来やるべきCSの仕事に時間を使えることが大きいです。

これからの目標として、各現場からの紹介を増やしていくことを考えています。

今後は現場がスタートするときに、「もし現場での対応が良ければ紹介をいただけないでしょうか」と自信をもって言うことができます。1現場から2組のお客様の紹介をいただけるよう取り組んでいこうと考えています。

これはもちろん営業への貢献でもあるし、今まで以上の相乗効果も期待できると思います。



営業・設計とのチームワーク向上へ

 

 

塾長

営業や設計の反応はいかがでしたか?


 

 

今川

「完成図書による事前発注」を実現するには、設計が期限内に完成図面に収めていただくことが必須なのはもちろんですが、営業の協力も必要不可欠です。

うちの場合は営業も、高い受注目標を設定したことで、今の陣容では業務改善しなければ目標達成できないこと。

そして、そのために完成図書による事前発注が必要になることを理解してくれていました。そのため、お客様に対し、これを実行していることが家づくりに必要で会社の強みであることをしっかり伝えてもらえています。

これが大きく、お客様が、営業段階からそのようなことに取り組むことが良い家づくりに繋がることを認識してくださっています。図面も仕様も着工前に確定させていることが必要で、それ以降原則として図面変更が無いこと、設計打ち合わせ段階で確定させなければならない趣旨も理解し協力していただいています。

結果として、今まで以上に営業・設計・工事各業務のチームワークもCSも向上しました。


 

 

塾長

社員みんなで趣旨を理解し成果を実感できたことで、ワンチームとなり善の循環が生まれているということですね。



実現させる強い意志が成果をもたらす

 

業務改善には色々なテーマがありますが、その中でも「完成図書による事前発注」は特に大きな成果を期待できます。「働き方改革」「工期短縮」「利益向上」「ESの向上」「CSの向上」などにまたがり大きな成果をもたらすことができますので、工務店・ビルダーの皆様には、ぜひともお取り組みいただきたいと思います。

 

 

 「完成図書による事前発注」については、こちらでもご紹介しております。

 



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