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設計は知識と知恵と感性が重要である

今は何もかも大きく変わってきている。

市場もお客様も大きく変わり、また求められる住宅も、求められ方も大きく変わってきている。

地球と人間にやさしい住宅、サスティナブル(持続可能)住宅、環境共生住宅、構造安全を含めた性能住宅も求められている。またZEHも本格的採用の時を迎えている。

 

このような大きな変化は大工・棟梁の技術力で対応できるものではない。

当然、設計者がいない工務店でも同じことである。たとえ設計者がいたとしても、CADができるから設計者として存在しているとか、少し作図ができるからといって設計者としておさまっている者が多く、また工務店の経営者もよくわからないので設計はノータッチで任せっぱなしにしていたことが多かった。そのためプランにおいても不十分なものが多く、悲しく怖いものがあるのが実態である。

 

住宅設計はプランニングとデザインで決る。

家の概念はS:シェルター(構造)とI:インテリア(内部空間構成)、E:エクステリア(外部空間構成)で構成される。インテリアは単なるカラーコーディネイトではなく、間取りから収納・材料・照明・家具・色彩までのトータルな構成をいう。

 

エクステリアは門柱・門扉・塀の外交からアプローチ・造園・建物外壁付属系の外部空間構成のトータルな構成のことをいう。この要素を「知識」「知恵」「感性」を使いプランニングし、デザインしたものが住宅設計である。

 

人間工学、人間生活工学などの「知識」と「知恵」を使い、お客様のライフコンセプトに応え、しかも敷地対応力に適応したうえで、住宅の安全・快適・健康・効率・利便性を追求する。

 

また「知識」+「知恵」+「感性」を使い、形・素材・色・陰影を追求し、美しい意匠を創り上げる。

これらの総合体が、「性能+品質+美」として家になり価格で競争される。

住宅設計というものを説明するとこのようになる。即ち、住宅設計は「知識・知恵・感性」の総合体であることを経営者と設計者はよく理解しておくことが大切である。

 

「基本設計」は、構造ルール、設計ルール、デザイン集をもとに住宅のプランニングとデザインを行い、魅せるプラン、魅せるデザイン、魅せるプレゼンを実現させる。

 

「詳細・実施設計」は、標準仕様書、施工詳細図、個別の仕様と詳細をもとに最適施工・最適収まりを実現するための魅せる図面をつくり上げる。

この2つの要素をもとに完成した図面と完全な仕様をつくり上げ、施工を行う工事部門へ仕事・内容・責任を伴った「完全な引継ぎ」をするのである。


しかし大半の工務店の現実はこの「完成した図面と完全な仕様による完全引継ぎ」が行なわれていない。猛反省して必ず実現してもらいたい。そうでないと品質も工期も原価もよくなることはない。

 

住宅の基本設計には2つの規則(ルール)がある。ひとつは構法・構造ルールであり、もうひとつは設計ルールである。前者は良品質住宅をつくるのに当然なければならないルールだが、後者の「設計ルール」は感動を呼ぶ設計に不可欠なものである。

 

(1)「構法・構造ルール」は、柱・梁、壁耐力などを定める構造規則の基本で、自社商品の標準と仕様を明確にする必要がある。

(2)「設計ルール」は、「構法・構造ルール」に基づいた上で①商品ディテールに沿った設計規則 ②必要機能と理念に沿ったプランニング+デザインの設計規則である。

 

この2つのルールを守りつつ住宅設計を行うことで安心の構造と住みやすい住空間が実現する。

住宅設計を行う際に理解しておかなければならないことがある。「注目部位」と「環境制御対象」である。

「注目部位」とは、①屋根 ②外壁 ③収納 ④設備 ⑤開口 ⑥床 ⑦空間 である。この7つの部位が住宅設計で注目される部分である。これらはデザインと住まいやすさに大きな影響を与える。

 

「環境制御対象」とは、①音 ②熱 ③光 ④空気 ⑤水である。この5つの環境を制御(コントロール)することが住宅設計に求められるのである。

 

この「注目部位」と「環境制御対象」にこだわり(設計哲学)をもって住宅設計を行うことにより自社住宅(商品)としての「らしさ」が生まれてくる。

 

(2018年9月25日 日本住宅新聞掲載)