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商品と売り方は連動する

①売れる「らしさ」の商品づくり

工務店にはいわゆる宣伝力はない。

工務店の基本の営業は口コミ・人コミである。

そのためにも常にお客様に視点をあわせ、考え、組み立てることを続けることである。

そしてお客様が感動・評価される商品(住宅ハード・ソフトと対応力)づくりができれば最高ある。

魅力ある住宅商品が宣伝になり、新たなお客様に選ばれるのである。

工夫に工夫を重ねて魅力ある商品をつくる努力をし続けることである。

 

住宅購買層は⑭で述べたように3極である。

そのどこに焦点を当てるかが実に重要である。

求められる商品も違うし、売り方も変わる。当然競合先も変わる。

 

ターゲットは

①富裕建て替え層、

②中古再生良家層(大幅増改築)、

③小家族住宅層~平屋・ひとり家族、

④大家族住宅層、集住層~二世帯住宅、シェアハウス、

⑤土地・建物購入層~コストパフォマンスデザイン規格型住宅、

⑥シンプル機能住宅層~住宅は箱で機能があればよい、

⑦稼ぐ住宅層(商・住混居)、

⑧中古住宅購入層(簡単な表面的リフォーム)

など多々である。

 

それぞれのターゲットの実現すべき求められる要件がある。

このターゲットと求められる要件・内容を明確にし、自社のポテンシャルを全力傾注することである。

 

ただ注意しなければならないことは、自社のポテンシャル、いわゆる企業活力が備わっているかどうかであり、もし備わっていないとその目指す商品化はできない。

 

その場合は外部利用で条件・環境整備を図らねばならない。

実現・実行対応するのはあくまで自社のポテンシャルであり、いつもこの強化に努める必要がある。

 

②売れる工務店は2極化、「らしさ」がある

今順調な工務店と苦戦する工務店がある。

順調躍進組の工務店は、aつくる住宅とプロセスにこだわりがある「らしさ」企業と、bマーケッテイングにたけて商品力が高く売ることに強い企業である。

 

a・bとも「らしさ」があり、ポテンシャル強化と、顧客満足に視点を置いている企業である。

一方苦戦・衰退組はマンネリ・実行レベルが弱い・変化に対応できない甘い企業で、これからは大変な環境を迎える。

 

しかし良い商品だからといって安心してはいけない。

こだわりの良い商品が売れる保証はない。

あくまで売れなければ意味がない。

 

こだわりがあろうが売れなければただの商品であり、意味がない。

売れる商品が良い商品だという定説があるが、工場製品ではないので、一理があるが認めるわけには行かない。品質が悪かったのでは話にならない。

 

設計・施工に責任が持ててこそ良い住宅である。

良品質は最適解の一つであるが、それで満足していたのでは未来はなく、常に売れるように努力しなければならない。

 

こだわる場合、自然素材住宅、性能住宅(省エネ・耐震+高機能)、デザイン住宅として顧客に認められるようになっていければしめたものである。

これらを徹底し、評価されブランドになっていければ楽しみが一杯である。

その該当地域で圧倒的№1になっていれば口コミ・評判ができ販売は楽になる。

 

ただ企業の永遠の発展はないので、常に「進化・新化・深化」の努力をしていく必要がある。

できれば材料・性能・デザインのトータル差別性が構築できれば、より顧客から評価されるようになる。

 


③商品による販売形態

中高級住宅とローコスト住宅では顧客への訴求方法も実際の営業対応も異なる。

ローコスト・規格型普及商品では、最大のセールスポイントが価格にあるので、いいかえると商品の差別化要素がないので、スピード営業になる。

資金計画→プラン→見積り→値引→契約といった行程になる。

 

一方中高級住宅では、差別化要素があるため、初期にそれを徹底アピールできるかどうかにかかっている。

要素アピールができない場合は差別化できないため、競合になり敗退する。差別化要素が初期営業段階できちんと訴えられれば、その後は有利に展開することができる。

当然マナーや対応力も求められる。良い社風や雰囲気が良ければ顧客の評価も高い。

 

商品と売り方は連動しているので、どの戦略を取り戦っていくのか明確にしていく必要がある。

中途半端は難しい。

 

(2017年8月25日 日本住宅新聞掲載)