理念明確、戦略明確、仕組み明確で「みんなが喜ぶ家づくり」の

谷口工務店

1、マイナスから意地と夢をかけ工夫の数々で成長

 谷口工務店(滋賀県・谷口弘和社長)は社員大工17名、設計社員9名、現場管理5名、広報2名、経理1名の陣容で、専業の営業社員が不在である。

完全な内省型の顧客密着・地場密着工務店である。

設計から工事までを徹底して充実するシステムをとっている。

営業システムはマーケッテイング戦略に基づきしっかり広報・来店型の仕組みを構築している。

 

 社員の平均年齢が20代と若いのは大学新卒を採用し一から育成をしていくためである。

新卒や若者を活用する理由として、谷口代表は「若い人は原理原則で物事を考える。

だからきちんと基本から教えたほうが戦力にもなり、やりたいことができる」とのこと。

理念を理解し純粋に実践する社員による企業経営を目指している。

現場キレイに関しては、現場キレイを理念・思想として徹底しているため、いつ誰に見せても良い状態になっていて気持ちが良いものである。

社員大工での強さが出ている。

 

 お客様もパスワードでリアルタイムの現場状況を見られるように、各現場ごとに現場カメラのシステムを導入している。

お客様目線での姿勢であり好評とのこと。

 完成住宅は、デザイン的には比較的若い世代が好むイメージを重視している。

またコンセプト表現につながるが、一軒一軒ごとに特長ある名称をつけている。

これもお客様目線の現れで、お客様を満足・感動させることに神経を使っている。

 

 創業当時のマイナスからのスタートを乗り越えてきたことを振り返り、谷口代表は「とにかく会社をつぶさない。そのためになにがなんでも成功するまでやり続けてきた。やめなければいつか成功する」という気概のもとに経営に当たっている。

また住宅産業塾の中でもとっぴてベンチマーキング(最善に学ぶ)を実践し良くなることに貪欲である。

だから伸びる。

2、「みんなが喜ぶ家づくり」の経営理念に徹する

 「みんなが喜ぶ家づくり」を掲げ、お客様・社員・社長・業者をはじめ関わる人すべてが喜べる住まいづくりに全力で取り組んでいる。


 若手社員を多く活用しているため、社員教育に非常に力を入れ「和」の心、数奇屋を知るための茶道教室や、道徳研修も行っている。

「月刊致知」の感想文を書かせることで社員意識を高めている。

 

 谷口工務店の見込み客発見方法はあらゆる媒体の特性を的確にとらえ、うまく活用しているところに特長がある。

多次元接点の考え方をよく理解し、HPだけでなく、見学会や雑誌掲載、現場からの受注や役立ち情報DM発送など、その受注のきっかけは多岐にわたる。

ラジオコマーシャルでも時間やタイミング・内容を吟味、最大限の効果を狙って実施し効果を挙げている。

 

 商談での特長は、「今の受注があるのは初回面談の徹底にある」というように、3時間の初回面談を徹底して実行していることにある。

そのためにも社員の人間力・コミュニケーション力の向上に力を入れている。

 

 谷口工務店のユニークで注目するものとして広報戦略とカルチャースクール「ぴのきお」の運営がある。

 広告や情報発信も業者まかせではなく、広報担当者が本当によく工夫している。

「ユーザーの方々に共感を得るためにどう印象づけるかに着目し、つくり手の立場に立たないPRとして、読み手の感情を動かすことを常に意識しています」という。

住まいの選択権者たる女性へのお客様目線がしっかり反映されている。だから効果的に手が打てる。

 

 「ぴのきお」も面白い。決して素晴しい施設ではないが、いろいろなテーマとイベントによる来店とPRに努めている。

暖かさが伝わり楽しいコミュニケーションにつながる。ボディブローで効いてくるだろう。


 マーケティング感覚を大切にし、理念と戦略を明確にし、仕組みをつくり、それに会う社員づくりをし、一から構築していく姿勢は素晴しい。これからが楽しみである。

 

 



関連キーワード