先日、住宅産業塾が設立25周年を迎えました。25年前、時はバブル経済の真っ
只中、私は大手企業を主戦場にコンサルタントとして活動してきました。しか
し、当時はお客様のことを考えず利益主導が過ぎるように、私には見えました。
そのため一念発起し、当時それほど浸透していなかったCSの考え方を業界で
初めて提唱し、CSを推進する地域の工務店を育成するという取組みを開始す
ることを決断しました。
住宅産業塾は、いわば工務店の"松下村塾"です。学びたい、より良い家づくり
をしたい、そしてお客様に喜んでいただきたい、熱い想いを持った経営者が集
い、CSを中心とした最新の住宅ビジネスについて学びを深めてきました。
住宅は"生命を担保にして求める家族の幸福の城"です。CS(カスタマーサテ
ィスファクション=お客様満足)を超え、期待以上の満足を提供することでC
D(カスタマーディライト=お客様感動)を実現、さらにそれがCT(カスタ
マートラスト=お客様信頼)につながり、紹介や特命率の向上につながってい
るという考えは、25年の間変わらない理念として浸透しています。
会員の皆様の真剣なCSの実践により、今までにも現場きれいの推進、基礎と
構造躯体天端±0の施工品質、お客様のための安心納得制度、感動の着工・引
渡し式、請求書無しシステム、その他数々の新しい取組みが生まれ、情報を共
有し実践を続けてきました。
25年前と違い、今ではCSは当たり前の概念として認識されるようになりまし
たが、CSは進化を続けており、その最先端に取り組んでいる企業は未だ多く
ありません。これからも、より進化した実践が行われることでCSの質が向上
し、CS→CD→CTに向けたビジネスシステムが各企業様にて構築され続け
ます。
CSが実践に活かされるためには、社員が腑に落ち楽しく行動できる環境づく
りを意識すべきです。すなわち、CSを定着させる前提は、ES(社員満足)
の向上です。ESを高めるためにも、理念を明確にすることです。価値観を共
有できれば、社員の行動意識や働く満足度も変わってきます。特に感性価値が
重視されている時代であり、その重要性はますます高まっています。社員の心
身を大事にすることでESをを向上させ、結果としてCSレベルが高まるとい
う関係にあることを意識しましょう。
住宅産業塾では、特命率70%を目指す。という目標を掲げています。70%はや
すやすと実現できませんが、社員がCS実践の価値を共有し、レベルアップを
図ることで先ほどのCS→CD→CTの道筋ができ、紹介の連鎖につながりま
す。これが、特命率70%に向けて最も重要な取組みではないでしょうか。
25周年CS強化大会でお招きした、でんかのヤマグチ山口社長様は20年前、周
囲に家電量販店が軒並み参入してきた絶対絶命のピンチを逆手に取り、顧客対
応の徹底をベースに家電量販店より高値での販売を貫き業績向上につなげまし
た。
住宅と違い、家電はどこで買っても商品は同じです。より安いものを求める顧
客心理を考えると、当時の状況が想像を絶する危機であったことは容易に予想
されます。それをCSの徹底で乗り越えられた信念と実行力には、本当に感銘
を受けました。ここまでするのか、の顧客対応で地域に無くてはならない企業
として認知される、よりお客様に役立つことを考える、お客様のお困りごとに
しっかり対応する、そして満足から感動、信頼していただくことで企業は発展
し続けられる。この事実は、地域工務店にも多くのものを教示してくれます。
工務店業界はまだまだ進化向上できるはずです。皆様にもCSをさらに徹底す
ることで、逆境をものともしない企業として、継続的発展を目指していただき
たいと願っています。
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