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準備よければすべてよし

1、「現場確認後の引継ぎ」を

設計部門からの引継ぎをきちんとし、施工準備を手抜かりなく行う必要がある。

 

引継を正しく行う場合に工事部門は必ず現場確認をしておかなければならない。盛土や擁壁の必要性、隣家との関係、給排水の引き込みの関係、施工上の注意・配慮関係などきちんと調べる必要がある。確実に調べ、クレーン車使用の確認、駐車スペースの確認、敷地造成の確認、基礎残土処理の確認などをきちんと行うことである。建替えの場合には特に隣家の現状確認を念入りに行う必要がある。引継ぎは工事監督の方から確認をするものである。

 

2、「先行工事計画」の作成を

施工計画・仮設計画を着工前にきちんと作成しなければならない。どんな工程で、どのような職人に施工させるのか、発注予算も幾らにするかなど事前にきちんと組み立てる必要がある。行き当たりばったりであると、工事・工程の先行管理ができなくなり、工期も長くなり生産性が悪くなる。職人も現場にスムーズに入れず、空きが出たりして効率も悪くなり緊張のない現場になる。また品質も悪くなっていき原価も高くなる。当然工事三大条件である工期厳守、残手直し工事0の引渡し、現場きれいは到底実現できるものではない。

 

実行予算を組み、発注も必ず事前に行わなければならない。事前に発注することで職人チームを明確にすることができる。このときの原価と工事完了後の実際原価の違い(違算)がないようにしなければならない。

 

また資材の納入計画もきちんと組む必要がある。納入スケジュールと納入方法が明確であると、資材の手配忘れもなく、作業を中断させることもない。

 

3、「標準詳細工程表」と「個別工程表」の作成を

会社として一番スムーズに施工ができる英知の結集である標準詳細工程表を作成する必要がある。監督により、職人により施工手順が変わったり、工程が変わったり、 施工方法がバラバラで変わるのは良くない。また、どの工程のどんな状態の時に、どんな資材をどのように納入すると効果的かについても研究すべきである。作業スペースを広く使えるようにし、作業性、生産性を向上させたい。

 

この標準詳細工程表に基づき、お客様ごとの個別工程表を作成するのである。

 


4、「総合手配・先行管理表」の作成を

標準詳細工程表や個別工程表は必ず作成しなければならないものであるが、現実の工事管理をする場合には「総合手配・先行管理表」があると大変便利である。工程表は各職方が実際の工事に携わる日程であるが、この日程を記入するだけでは工事はうまくいくものではない。

 

この管理表は実際の個別工程表に基づいて、各職方・業者が実際の現場に入るその何日前に手配確認(発注は事前にしている)をするべきかというものの日付を明確にしたものである。同じように納入すべき資材についても、いつ手配をするべきかを明確にしたものである。社外の検査の手配もいつ依頼するべきか、社内の検査も関連部門にいつ依頼すべきか、そしてお客様立会いもいつ手配確認するべきか、それぞれの手配・確認の日程を個別工程表とは別途に事前に決めておくものである。そして日々、その日を確認しながら仕事を進めるのである。職人が現場に入る日付だけを追っていると手配・確認が遅れて間に合わなかったりして現場が混乱したり、職人に無駄飯を食わせることになるため、ミス・ロス・ムダがないように先行管理をするものである。

 

総合手配・先行管理表を作成する時に同時に「工事業者・資材納入業者連絡一覧表」を作成しておく必要がある。業者の名前・担当者・連絡先・電話番号はもちろんのこと、いつ手配しなければならないかを明記したものである。このときに前工程との関係も明らかにする内容になっている。着工式や事前の工程会議などで担当職人・業者に配布し、お客様家づくりのチームメンバーをわかりやすくするものでもある。担当職人・業者は自らの責任においてチームメンバーと連絡を取り工期・品質実現に努めるものである。

 

現場を確認し、引継も正しくし、施工計画も作成し、準備ができれば工事はほとんど成功する。

 

(2019年6月 25日 日本住宅新聞掲載)