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設計力の時代

①求められる設計力

どんな住宅をつくるか、お客様が求められるニーズにどう対応するかが求められる中で、より一層設計者の役割が重要になってきている。設計力が強ければ競争力十分で受注も向上する。また設計力が強ければ工事もうまくいく。CSも利益もしっかり実現できる。 

設計には二つある。営業の受注活動そのものにつながる営業設計(基本設計)ともいうべき分野と、決まったものを確実に図面化する工事設計(実施設計)の分野―これはどんどん標準化とシステム化を進めればよい―である。 

 

②営業設計の役割

営業設計はお客様と打合せして確実に受注に結びつける行為である。そのためお客様と対面して、お客様の住まいに対する思いとか、どういう生活をしたいのか、将来はどんな考えがあるのか、またどんなこだわりがあるのかなど、しっかり聞き出さなければならない。

住宅設計はプランニングとデザインで決まる。

 

お客様の求められるぴったりのプランニングをし、世界で一つしかない「家族の幸福の城」を設計する。安全で、快適で、健康で、効率(省エネ・省コスト)がよく、利便性のあるプランをつくる。

またお客様の限られた敷地とその周辺環境にうまく対応するプランで、お客様の家づくりコンセプトをしっかり反映したプランにし、なおかつ美しい住宅を設計するのである。

 

お客様の限られたお金と土地でベストのものを提案することがプロの住宅会社の責務である。

構造材や下地材にもよく配慮し、仕上げ材は特別よく配慮する必要がある。構造的に安全は当然のことで、耐震・省エネを十分配慮した住宅は必須で、シックハウス症候群にも犯されることのないように、プロの立場でご提案しなければならない。

 

さらにその設計プランをお客様にわかりやすく魅力的なプレゼンテーションで演出説明する必要がある。お客様がプレゼンテーションをご覧になった時に即、建てたくなるモノであることが望ましい。しっかりとわかりやすく、カラフルに、しかも動画を活用して説明をする必要がある。

 

そして、なによりもその住宅が美しくなければならない。10年経っても30年経っても町並みに映える美しい住宅デザインでありたい。デザインは型・材料素材・色・陰影で決まる。

だからどんな形か、どんな材料を使うか、またどんな色彩でどんな陰影をつけ立体感を出すか十分に検討しなければならない。美しいということは、うつくしく、きれい、美観・美麗、華美・優美があることであり、人を引きつけることである。

 

言い換えると品があり、見れば見るほど味があり、現在も将来も映えることを言う。

このような美しい住宅をつくるのが設計力である。

お客様の希望プランがほぼまとまれば、詳細なプラン内容を詰める必要がある。

 

1/50の平面図と、できれば展開図も作成するべきである。それに基づいて詳細の打ち合わせをし、確定していくことが不可欠である。さらにしっかりと使用する材料を決めていく。

人間生活工学的見地での住みよいプランであり、人間がやすらげる住宅を確定させるべきである。

 

 

③工事設計の役割

次に確定したプランと仕様に基づき詳細の施工図を作成するべきである。

そして[完成した図面と完全な仕様書]の設計図書を着工前の決められた期日までに工事部門に引き継がなければならない。

 

 

④優位力になる設計力

工事中もお客様の満足実現のために確認をする必要がある。

特にスイッチ・コンセントの確認は設計担当者が必ず立会い、その確認だけでなく、空間の再確認のためにじっくりと時間をかけて各部屋ごとの説明と確認をしなければならない。

 

設計は良い住宅、住みよい住宅をつくるときに不可欠である。

住宅設計は快適・健康・効率・利便性を追求する「知識・知恵・感性」の総合体であることを企業も設計者もよく理解しておくことが大切である。

これらの総合体が、「性能+品質+美」として家になり、価格価値で評価されて競争優位力となる。

 

工務店・ビルダーはこの機能を強化する努力を惜しんではならない。

 

 

(2018年8月25日 日本住宅新聞掲載)