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会社・商品・自分 の効果的アピール

現場や展示場にはじめて来場されたお客様と面談し、その後のアポを取るのは多くの営業社員にとって難しいことである。

しかし、アポ取りに工夫がないのも事実で、お客様の心の中も察せずにいきなり“家づくりの商談”を切り出されてもそんな話には乗れない。

まずはお客様に家づくりの計画を一緒に考えてくれる信頼できるパートナーであることを理解・納得していただく必要がある。

 

初回面談時にはお客様の来店の理由や知りたいこと、家づくりの動機の把握・確認に始まる。

「身だしなみ」を整え、自分が裃を脱ぎ、素顔をさらけ出す「自分史」「心を開くトーク」、会社のポリシー・商品を紹介する「コンセプトブック」などを活用したトークをすることである。決して説明で終わってはいけない。

 

お客様から質問をいただくことや、逆に「質問」をたくさん投げかけ「次回までの宿題」を作り出すことや、自社住宅に充分納得していただく状況を作り出すために、「お客様の要望に合った現場」や「HOお客様邸」へのご案内を行いたいなどで次のアポイントを取ることである。

お客様が家づくりの意志を固められた場合は「設計依頼」「敷地環境調査依頼」の申込をお願いし商談のスタートラインとすること。

など、お客様の心の各段階に応じたきめ細かい対応が必要である。

 

もしアポイントが取れない場合でも「即日お礼訪問」や「熱き手紙」で、パートナーとしてお役に立ちたい気持ちが本気であることを切々と訴えることが必要である。ただ最近は訪問を歓迎されないお客様が多いので、その対応は郵便やWEB・SNSなどの方法を取ることも大切である。

お客様に会社をアピールした「内容」をそのまま素直に受け取っていただくにはそれなりに工夫がいる。

 

どんなに素晴らしいことを言っても思いを伝えたと思っても“誇大宣伝といわないまでも吹聴している”と、誤解されることがある。

そうした誤解を解き、真意を理解していただくには、まず“嘘・偽りのない行動”が前提になるが、伝え方も一工夫する必要がある。

またそれでもアポが取れなかった場合は、いつまでもしつこく繰り返さずに切り上げ、育成システムや中長期顧客管理システムなど、の対応に切り換えることである。

 

お客様を理解することと、お客様に理解して頂く必要があることが「会社」「商品」「私・自分」である。この三要素の理解がお客様にないと、たとえ商談に入れても契約まで行くのは難しい。

“この会社なら任せても良い、この会社に頼もう”という気持ちがお客様の中で固まっていないと、商談の途中で競合他社に簡単にひっくり返されてしまう。

 

「会社」は、会社概要ではなく、企業理念・ミッション、会社としての家づくりの「思い」、会社の方針、社長の方針を伝えることである。

「商品」は、自社が誇れる商品の[らしさ]を中心に「品質」「施工プロセス」「設計意匠」「HO顧客の喜びの声」などをご紹介することである。

気をつけなければいけないことは一方的な説明や自己満足的な話にならないことである。

商品をアピールする場合、“お客様にとって役立つこと”が前提になる。会社の家づくり哲学と商品の特長をあわせて説明することが大切である。

 

「私・自分」は、大判名刺や自分史などを使い略歴を、そして営業担当として家づくりに取組む自分の姿勢、思いを伝えることである。

自分を信頼していただくには「対応」「行動」「マナー」で示し、あれこれ画策せず素直な心でお客様に接するのが何より重要である。

 

会社と商品と私・自分が熱く語れない営業マンが多くいる。

また知識も乏しい営業マンがいるが、これでは話にならない。熱く語れない営業マンは自社や自社商品が腑に落ちていないことが原因かもしれない。

 

初期面談がうまくいかないときはその原因を考え、具体的に改善点をまとめる。

そして練習・ロールプレイングを徹底し改善、向上に努めることで道は開けてくる。

いずれにしろ初期段階でお客様に信頼していただけるかどうかが鍵である。

 

 

(2018年4月25日・5月5日 日本住宅新聞掲載)