長井塾長の工務店応援記

新春セミナー2017 座談会より

新春セミナー2017の座談会は、住宅産業塾 長井塾長と事業戦略を担当して

いるコンサルタントにもご登壇いただきました。これ以上新築は伸びる余地が

無いことに異論はありません。一方で既存住宅活用への流れは本当に進んでい

くのか、不動産と建築の垣根がある中で工務店はどう対応すべきなのか、既存

住宅流通促進と工務店の役割を主なテーマに意見交換しました。

 

 

既存住宅流通の未来と、工務店としてどう対応するか?

建築の立場から見ると不十分に思えますが、不動産流通の立場からみると一部

に課題があるものの既存住宅流通促進に向けた法整備は劇的に進んできました。

政策は明確に促進に向けて進んでいる以上、そこにビジネスチャンスが生まれ

るはずです。だからこそ、この分野に積極的になる必要があると考えられます。

では工務店は劇的な変化が必要なのかといえば、今までやってきたことが大き

く崩れていくわけではありません。もちろん新しいものに目を向けなければな

りませんが、あたふたし過ぎる必要はありません。

 

重視すべきは生活価値と資産価値の両立です。今までやってきたように、お客

様の望む暮らしを実現する生活価値の向上に取り組みつつ、これからは住宅の

資産的側面に更に目を向けるべきでしょう。住宅を建てることでお客様は自由

を手に入れます。貸すことや、相続のことを考えれば資産としての組み替えも

できます。そのような資産価値の面と生活価値向上の面との両立を果たし、お

客様に更に貢献することが益々必要になるでしょう。

 

 

所得とニーズの変化を捉えよう!

今、所得が低いほど既存住宅、高いほど新築に向かうとは一概に言える訳では

なくなってきています。最近は、予算がある方でも30坪1500万円を志向する人

も多くなっているようです。高付加価値を提案する一方で、リーズナブルで要

件をしっかり満たした規格住宅も提案できるようにするべきでしょう。

 

背景として、住みたい場所に住むというのを優先する客層が増え、お客様の志

向も変化しているのではないでしょうか。ライフスタイルが多様化しているな

かで、小さい家や平屋が増えてきたのことにも現れているようです。

 

 

社内でもベンチマーキングは可能

もちろん、他社の良い点を学び取り入れるだけではありません。自社の良い部

分を徹底的に伸ばすことも同時に取り組んでください。これは、コンピタンシ

ー(成果を上げる行動特性)を研究し、社員に波及することで実践できます。最

近では、SNSでも"いいね"をすることが通例となっていますが、社内に置き

換え、自社の"いいね"運動を行うのも良いでしょう。悪いところを指摘しあう

のではなく、各社員の良い行動特性を発表しあい、それを社員各自の学びとし、

行動に反映していく、いわば社内におけるベンチマーキングとも言える様な取

組みを積極的に行い成果につなげて欲しいものです。

 

 

 

 

不動産と建築の垣根を超えたところにチャンスあり!

インスペクションは、今後工務店ビジネスにとって重要性が増してくると思わ

れます。しかし、インスペクションも中途半端なところと、信頼を獲得できる

ところの二極化が発生するだろうと考えています。不動産事業者とのコラボを

どう考えるか。そこが鍵ですがあまり進んでいない印象です。心あるパートナ

ーと結んでいくことで、良い仕事ができるようになります。それを地域でつく

ることが必要です。そのために必須なのは人材育成です。ワンストップを担え

る人をまず早く育てるべきです。不動産業者は面倒なことをやりたがりません。

「後は全部こっちでやるよ」というスタンスがお互いのメリットになり、組み

やすくなるポイントです。不動産業者からも頼られる存在になることが必要で

はないでしょうか。

 

そもそも、建築と不動産両面から見たときに、お互いが信頼して連携できるか

は難しい課題です。どちらも疑ってかかっています。ここと組むべき、という

業者を早いうちに見つけ、腹を割って付き合いましょう。そこに+αが生まれ

ます。いろんなジョイントビジネス、新しい芽には手を出したほうが良いでし

ょう。

 

 

長井塾長のまとめ

20年前に比べて新築市場は半減しました。では業績は半分に落ちているので

しょうか? これから先も半減することを予測し、それを承知の上でビジネス

に取り組むことです。それには「やるべきことをやる」というスタンスが重要

であり、苦労した分知恵が付きます。ビジネス規模や質を考えると、全体量は

小さくとも、競争力を高めることができれば未来はあるといえるのではないで

しょうか。世の中は買い控えではありません。色々な要因が悪く捉えられます

が、買いたいものが無いのが根本原因です。お金を持っている人が欲しいと思

えるもの、そして選ばれる会社になる、これが欲しいという家をつくり需要を

掘り起こす、そのくらいの家を是非つくってみてください。

 

 



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