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考え方を変えると結果が変わる

    論語と算盤

現代は金融資本主義の時代で、公益・利他の精神がなくなってきて、「算盤と算盤」が中心になり、あらゆる分野でのひずみが発生してきている。このひずみを直していくのに公益資本主義の時代に変革していかねばならないといわれている。失われてきている善の精神に照準を合わせて新しい概念「CSV経営(共有価値創造)Creating  Shared Value―「社会課題と経済課題の同時実現」、顧客・社会が求める価値と社会的責任を果たす(正直な家づくり事業を行う)企業の価値の一致の実現が求められてきている。今話題のSDGsに取り組むことはこの流れに値している。

 

論語でいう「仁・義・礼・智・信」・「徳」は、これからも不変のものである。CSを実現すると、心が豊かになる。自分のことではなく他人の家族の幸福の城をつくるのだから次元が一歩抜きん出ていることがわかる。ところが昨年10月、新築住宅の80%が欠陥住宅であるという記事は信じがたい現象であり、許されない内容であるといえる。

 

住宅産業に携わる企業や人々は論語の善の心を学び、CSを実現して社会的使命を果たしてほしい。

 

    視点を変えると見える景色が変わる

視点を変えてみると、アーそうだったのかの気づきがあったり、その物事の本質が見えたりする。自分の立ち位置を、自分視点で見るのと、他人視点から見るのとは全く見える景色が違うということに気づくはずである。

 

例えばコロナは害が多く大変だが、一方で働き方改革を一気に進めてくれたことや、DXの急速な進化での新しいビジネスモデルが誕生するなどのきっかけにもなっている。イヤダいやだ、困ったというだけでなく、視点を変えてみると新しい発見や取り組みが見えてくるものである。

 

立ち位置を変えてみる。企業視点から顧客視点に変えるといろいろやるべきことや楽しいことが見えてくる。

ぜひやってみてほしい。

 

    他責から自責へ

誰でも独自の立ち位置・思考回路を持っている。その立ち位置・思考回路が良ければよいのだが、それが偏ったものであったり、視点が違っていると結論が全く異なってくる。特に物事を自責でとらえるのと他責でとらえるのでは、その導くものが根本的に変わる。

 

他責でとらえると、悪いのは自分ではなく世の中が悪いということになる。変えなければならないのは他人であり、世の中であるという。これでは永遠に問題解決はできず、同じ失敗を何度も繰り返す。また他責の人材は仕事をやらされているというスタンスになり、いつまでも停滞していく。周囲も助けようがない。また言い訳が多くなる。言い訳とは美しいインチキであり自己破壊と他者破壊をもたらす。

 

自責の人材は、常に問題や事実の本質に迫る。そこにはやらされ感はなく、なぜ悪い結果になったか?その原因・理由は何かを真剣に追及し、その解決策を出していく。言い訳はなく、自分の考えや行動の何が問題であったか、何が不足していたか、何が足らなかったか、何が原因かを考え突き詰める。だから問題解決をしてどんどん進化していくし楽しくもなる。また他人や他部門を決して非難しない。こういう自責の人材は成功しても決しておごらない。成功からその成功要因をしっかり分析し、次につなげていく。進化・深化・新化していく。未来が面白くなっていく。

 

自責の幹部のもとには自責の人材が集まり、発展モードの燃える社風になる。逆に他責の幹部のもとには他責の人材が集まり愚痴と他部門批判の不平不満の集団になっていく。

 

立ち位置・考え方により、働いている人々の見える景色が大きく異なっていくようになる。注意してほしい。

 

 


    自社を他人目線で分析を

言い訳なしで自社分析してほしい。チェックリストつけた。業務プロセス管理を確実に実施してほしい。プロセス通りに進んでいれば仕事が順調に進んでいることがわかる。プロセスがずれていたり、スケジュールの停滞があれば問題発生であり、即解決していかねばならない。また事実を数値化したデータベースは仕事・事業の適正かどうかの判断がすぐできる。目標数値以上に進んでいれば、良い進展をしているが、目標に大きくマイナス誤差が出ていれば、すぐ課題解決対策を打たねばならない。自社の力・ポテンシャル分析をして経営を健全にしていってほしい

 

    資料・図表の確認

・2021年と2022年以降は明らかに環境が変わっていく。しっかりと環境変化に対応していってほしい。

・価値・勝ち組企業は「理念明確+戦略明確×商品明確×ビジネスシステム明確×実行明確」である。強さの「らしさ」構築と実践に徹底してほしい。

・チェックリスト内容は謙虚に確認してほしい。毎年自社分析をし、良いところは更に伸ばせるように、悪いところは間髪入れず改善できるようにしてほしい。

 

・大切な思考・行動原則をまとめた。勇気をもって見かた・やり方を変えていってほしい。今チャンスの時である。

(2022年1月25日 日本住宅新聞掲載)