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● ワンポイントアドバイス

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  ~働き方改革~

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4月1日「働き方改革」関連法が施行されました。中小企業そして工務店の皆様

の中には「猶予もあるし」「現実に忙しいし」といった声もありますが、目を

背けてはいけません。生産性の向上をもたらす業務の見直しなど実質的な「働

き方改革」が大事であることは言うまでもありませんが、今回は、世間で話題

になっている制度の面に焦点を当ててみたいと思います。

 

まず、今回の働き方改革への取り組みについて、おさらいしましょう。今回の

働き方改革の取り組みは、①長時間労働の是正、②多様で柔軟な働き方の実現、

③雇用形態に関わらない公正な待遇の確保を目的としています。その中でも大

きくクローズアップされる①について、建設業(大小問わず)は5年の猶予期

間があるので、実際の適用は2024年4月からとなります。その内容はHPやその

他色々な媒体で記載されていますが、その内容を今のうちにしっかり把握する

ことが必要不可欠です。

 

見逃せないのは、懲役を含む(6か月以下または30万円以下の罰金)罰則規定が

できたことです。実際には、よほど悪質な事例でなければ罰則を受けるという

ことは無いと思われますが、油断は禁物です。実際にこの問題が生じるきっか

けとして、労基署がアトランダムに行う調査もありますが、労働災害が起こっ

た場合、社員や退職者が労基署に申告することをきっかけに行われる調査など

で発覚するというケースが考えられます。特に退職者の申告は常にあるリスク

として向き合わねばならないでしょう。

風評による副次的影響も大きいものになるでしょうし、これからを担う若い世

代にとって、業務形態は企業選びの重要な要素となりますので、5年の猶予い

かんに関わらず、将来のリスクを想定して今から対応に取り組んでいないとま

ずいということになります。

 

法律を理解したうえで、対策を実行することになりますが、長時間労働の抑制

のために行う優先事項は、①業務の内容・やり方を見直し標準化を進めること

と、②労務管理、特に勤怠管理の仕組みを見直すことにあります。特に、役割

によって仕事内容の相違が大きく、外まわりの仕事も多い住宅事業の特性から、

未だに勤怠管理があいまいな企業は多いと思います。①については、実働時間

・実態を把握し、業務の無駄を省き整理することですが、これが無ければ②労

務管理・勤怠管理もうまく機能しません。そして②の仕組みづくりに対しては、

ITによるサービスの進歩は著しく、これらを利用することでやり易さは段違い

になっています。業務内容を分析し、実働時間・実態を把握すること、そして、

勤怠管理方法をITを用いて管理する。ただしこれらを運用し実効化あらしめる

にはそれなりの時間がかかると思われます。できるだけ早めに取り組みを開始

することが求められます。

 

この点について、住宅産業塾では働き方改革アンケートを実施しています。現

段階で見えてきた傾向としては、労働日数に関しては、週休二日の導入も含め

対策が打たれている一方、時間外労働を減らす取り組みについては、遅れてい

る点が目立ちます。人材不足、業務の忙しさがあるため、一朝一夕にはいかな

いところかと思いますが、立ち止まることなく進まなければなりません。建設

業はただでさえこの分野に遅れていると思われがちです。対策を打つことがで

きれば「違い」を見出し、選ばれる企業に近づくことができます。

 

工務店の働き方改革は、重要テーマであり次回も続けてまいります。

 

 

                 (文責:住宅産業塾事務局長 長井智史)