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● 今月の塾長提言

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  ~今後必要な商品戦略~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆増税対策、増税後の対策の両立

 

消費税増税の経過措置期間の起算点である2019年4月まであと10ヵ月と

なりました。実際のところ駆け込み需要の動きは鈍いものの、その反動の大き

さが予想されており、業界全体に影響があるのは間違いないところです。今は、

対策を準備し早急に実行し成果を出す重要なタイミングです。来年3月末まで

に受注できるものについては迅速な対応を心がけ、受注確保を最優先に取り組

みましょう。商品については売りやすさを優先し、できるだけ契約に時間をか

けないことです。

 

もう一つは、増税以後の対策であり、それは増税の影響が少ないと思われる中

高級・富裕層への訴求力を高めることです。「らしさ」をベースに新たな価値

を創造し、その価値をいかに市場に認めていただくかを考えましょう。戦いの

源泉は長所にしかありません。消費税が上がってからでは立ち遅れてしまいま

す。まさに今の動きが増税後を左右するといえるでしょう。

 

☆これからの商品戦略

 

今、どの業界でも2極化がキーワードとなっていますが、実際は3極4極にも

わかれています。一つは販売優先のいわゆる低価格層、これに対しては土地の

手配力、一気の資金計画・見積もり・契約のワンツースリー営業、わかりやす

さとスピードが何よりも大事です。そして、中間価格帯のイージーオーダー型、

この客層に対しては、ベストステップを用意し、家づくりでも安心納得での対

応がカギとなります。高級層はそれなりのステイタスとこだわりが満たされな

ければならず、設計が前面に立つこと、家づくりそのものも、商品も売り方も

異なります。そして富裕層を入れれば4層にもなります。

 

住宅会社の中には、市場の縮小に伴い客層を広げ地域でのシェアを高めるとい

う動きも目立っていますが、それぞれのターゲットに合わせた商品戦略・仕組

みが必要であることは言うまでもありません。特に、現状からより低価格層も

併せて狙う、という場合において、低価格商品は安かろう悪かろうでは通用し

ません。低価格は資材が安いというわけでなく、営業設計工事の手間を省くか

らであり、それは標準化され効率的であるからです。商品も規格型であり、メ

ニューも仕様も決まっているため良いものをリーズナブルに提供できる、とい

うスタンスであるべきです。いわば、料亭が出すランチのイメージです。美味

しさはそのままにメニューと仕様が決まっているので安く提供できるもの。そ

れが今までのブランドを崩さない知恵とも言えるでしょう。

 

一方、高級層に対しては一にも二にも設計力を高めることです。ただし、でき

なければ外部を使うということも考えてよいでしょう。住宅会社はもともとア

ッセンブルであり、利用できるものは活用するというのも知恵の一つです。

 

そして、どの客層を狙うといえども、「らしさ」の構築は必須です。「らしさ」

を引き出すには、住宅という「商品」を構成する必須の性能や、お客様が「こ

れはいい」と見てわかるデザインなど日々、研鑽発展させなければなりません。

その中でも、デザインの重要性はさらに高まっています。特に、一見して「こ

れはいい」と思えるようなわかりやすいデザイン性、見てわかるデザインを追

求してください。そのうえで、それぞれのターゲットの傾向を読み、自社がど

この客層を狙うか、それに合わせて商品戦略も構築すべき仕組みも変わって来

ることを肝に銘じ、改善を進めてください。

           

                    

                    (文責:住宅産業塾 長井智史)