好評連載 お客様を呼ぶブランディング講座③

6W2Hで計画する(前編)

業務の報告や文章に作成においては、5W1Hを意識して情報を整理するとわかり

やすく伝達できるとよく言われます。5W1Hとは、言わずと知れたWhen(いつ)、

Where(どこで)、Who(だれが)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どの

ように)の頭文字です。ブランディングにおいては、それらにWhom(誰に)と

How much(いくらで)を加えた6W2Hで考えると計画内容がもれなく整理できま

す。

 

●Why(なぜ)

6W2H を時間軸で捉えた場合、最初に整理しなければならないのがWhy(なぜ)

です。Whyは意義、目的、理由、必要性などにあたります。そもそも何が問題

で何のためにブランディングを行うのか。それを明文化しておかないと活動途

中に方向性を見失うことにもなりかねません。ブランド化のメリットについて

は前回述べましたが、その内容も踏まえた上で“なぜブランディングを行うの

か”をあらかじめまとめておくことが大切です。

 

●What(なにを)

“何をブランド化するか?”ということ(What)は、6W2Hの中でも最も中心的

かつ重要な要素です。工務店・ビルダーの場合、そのテーマはたいていコーポ

レートブランド(企業の愛称など)か事業ブランド(例えばリフォーム事業の

サービス名)、もしくは商品ブランド(住宅商品名)ということになるでしょ

う。

 

では、そのどれかを選べばWhatが決まるのかといえば、それはまだ一段階目に

すぎません。例えばコーポレートブランドを浸透させるにしても、企業の何の

要素を際立たせて推し進めるのか、言い換えれば何をもって顧客の心を動かす

のかをさらに決めることが不可欠です。それこそが“ブランドコンセプト”で

あり、ブランディングの根幹となるWhatなのです。

 

●Whom(誰に)

事業や商品を考える際には、ターゲットを設定するのが一般的ですが、ブラン

ディングにおいてはそのWhomをとくに明確にする必要があります。その一番の

理由は、ターゲットが漠然としていてはブランドのカラー(イメージ)が明快

にならず、どういった層の人にも印象に残るものとはならないからです。また、

限りのある経営資源を有効に使う上でも重要です。ターゲットの設定は、ブラ

ンディングの目的やブランドコンセプトとの整合性を十分に図りながら行いま

す。

 

ブランディングの6W2Hのうち、先ずは具体的な活動の前提となる基本三要素

(What・Why・Whom)についてその概要を説明しました。6W2Hを設定する上で

のポイントは、すべての要素同士に整合性を持たせて全体として一つの戦略的

ストーリーにするということです。とくに基本三要素がチグハグでは、ブラン

ディングは効果を発揮しません。逆に言えば、三要素が脈絡としてしっかりし

ていると、他の要素の方向性も自ずと見えてきます。

 

次回は、6W2Hの残りの要素について解説します。