これからの住宅のあり方とは

「健康住宅」を考える


健康住宅」という言葉が頻繁に使われるようになりました。

 

WHO(世界保健機構)によれば、健康とは「病気でないとか、弱っていないと

いうことではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満

たされた状態にあること」と定義されています。

 

さて、本題ですが「健康住宅」にも二つの方向性があります。病気や住宅由来

の健康被害を防ぐという消極的な考え方と、住むことで健康が増進されること

を目指す積極的な健康住宅です。ここでは、これからの住宅のあり方として、

積極的な健康住宅について考えてみたいと思います。

 

これについて、様々な健康要素を追求していくと、結果として次の4要件が必

要とされることがわかりました。

 

①温熱環境を整える

高断熱・高気密・計画換気システムを採用することにより、住宅内の温湿度が

適切になり、住まいの快適性は向上します。また、部屋間の温度差によるヒー

トショックなどの健康被害も減少します。

高断熱・高気密・計画換気システムは高い施工精度が要求されますが換気効率

も向上し、より快適になります。

 

②自然素材を使用する

自然素材を採用するのは、人体に有害なVOCなど化学物質をできるだけ出さ

ないだけではありません。人間に近い生物素材である木を中心に漆喰・珪藻土

などの自然素材を使用することは、人に安らぎを与え、五感を癒してくれ、健

康と快適性をもたらします。

 

③抗酸化環境をつくる

前述にもあるように、人工建材や電磁波を発生する電化製品に囲まれた環境は

活性酸素により酸化されやすく、病気になりやすい環境です。そこで、抗酸化

技術の活用や有害電磁波対策を施すことで、化学物質過敏症や電磁波過敏症な

どを軽減でき、そのことにより、住まい手はより健康な暮らしを手にすること

が可能となります。

 

④健康快適な設計の採用

家族間のコミュニケーションや健康で豊かな暮らしを実現するには、健康快適

に関する高い設計力が必要とされます。当協議会で検討分析し編纂した健康快

適設計基準を駆使して設計された健康住宅は、住まい手に健康と快適さをもた

らします。

 

最近、「温熱環境の整備」や「自然素材の使用」をもって「健康住宅」と言わ

れることが多くなりました。ただし、これだけではまだ消極的な健康住宅の領

域にあることは否めません。上記4要件を駆使してつくられた「健康住宅」こ

そが、住むと「健康と快適さ」をもたらす真の「健康住宅」となり、併せ「暮

らし方」をアドバイスすることにより、WHO定義の「健康」が実現され、こ

れが「これからの住宅のあり方」であると考えます。