できる!コストダウン

  分散経費(分散経費率)という考え方

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

工務店経営上、粗利益はフリーの注文住宅では30~35%くらい、あまり手

間のかからない規格型住宅(ローコスト住宅含む)でも25%くらいは欲しい

ところです。

 

しかしながら、営業見積もりに粗利益として25%~35%の金額を載せるこ

とはすぐにお客様の目に留まりに暴利だと思われ、値引きの対象になってしま

います。

 

そのため、営業見積もりでは粗利益の一部の10%~15%を諸経費としてお

客様に見えるように載せ、残りの10%~20%の分の粗利益を各見積もり項

目に割り振っているか、見積り内部で載せ易い項目、例えば構造材費や大工手

間とか雑費などに載せているのが一般的だと思います。

その見積もり内部に含ませている粗利益の残り分を分散経費といいます。

 

では、営業見積もりでは見積もり方式がいくつかあります。

・坪単価方式

・規格価格+変更価格方式

・概算方式

・詳細項目見積もり方式

 

などなど、ここでは上記すべての見積もり方式の基本となる「詳細項目見積も

り方式」の場合で考えていきます。

 

「詳細項目見積もり方式」では原価見積もりの工事項目単価に連動して営業見

積もり用の単価をつくります。原価見積もり用の単価を原単価、営業見積もり

用の単価を売単価としますと、売単価は①式で算出され、よって分散経費を算

出するための係数を分散経費率といい、②式で算出されます。

 

売単価=原単価×分散経費率 ≦ 定価&市場価格 …①式

 

分散経費率=売単価÷原単価 …②式

 

②式で算出された分散経費率を原単価に乗じると売単価ができます。

ただし、ここで一つ注意が必要です。

それは原単価に分散経費率を乗じて計算された売単価が、そのものの定価以下

かまたは市場で誰もが入手できる金額以下に設定することが必要です。中には

売単価がそのものの定価より高くなってしまうことがあるので、チェック確認

が必要です。

 

・分散経費率の計算例

例1)原単価65%、粗利益35%、表しの経費率10%とした場合

   この場合、粗利益35%の内25%が原単価に載せられ売単価となりま

   す。

   分散経費率 =(65+25)÷65=1.385 となります。

 

例2)原単価65%、粗利益35%、表しの経費率15%とした場合

   この場合、粗利益35%の内20%が原単価に載せられ売単価となりま

   す。

   分散経費率 =(65+20)÷65=1.308 となります。

 

例3)原単価75%、粗利益25%、表しの経費率10%とした場合

   この場合、粗利益25%の内15%が原単価に載せられ売単価となりま

   す。

   分散経費率 =(75+15)÷75=1.200 となります。

 

この分散経比率を使って基本的には、営業用の売単価を作成しますが、それ以

外にも原価総額が分かっている建物や住宅の売値(お客様提示用の金額)を算

出することができます。

 

・計算例

例4)原価総額2200万円で、粗利益35%、表わしの経費率10%とする

   と条件が同じなので前出 例1)で算出した分散経費率を使用します。

 

   お客様出し原価=2200万円×1.385=3047万円

   お客様出し売価(外掛け経費採用)

     =3047万円÷0.9=3385万円となります。

 

この分散経費率を用いると原価総額が分かっていると、お客様出し原価がすぐ

算出でき、それに諸経費を載せればお客様出し売価が算出されます。

以上ご参考にしてみてください。

 

なお、弊社では原価管理やコストダウンの手法についてご指導も受け賜わって

おりますので、お気軽にご相談ください。