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企業力は人と企業体質で決まる

1変化対応できる良き企業体質の構築を

新コロナ感染症を含めて住宅業界を取り巻く環境が大きく変わった。

そのため苦戦するところと順調な企業の差が大きくなってくる。

勝ち残るのはこの変化を読み取り、的確に対応していく企業のみである。  

 

企業の経営資源で経営財産(顧客・商品・販売力づくり)をつくる。経営資源は通常、人・モノ・カネ・情報・ノウハウ・企業体質であるといわれる。しかしよく考えると、それは人と企業体質に尽きることがわかる。モノもカネも情報もノウハウもすべて、人についてくる。しかし、逆にその企業体質が人をつくることも忘れてはならない。企業体質は社風とか、企業風土とか、企業文化とも言われる。この企業体質がプラス方向か、マイナス方向にあるかで企業の命運は決まる。企業体質が悪ければ戦うことはできない。経営者はこの企業体質を良くする努力をしなければならない。プラスの良き黙示的規範をつくることができれば大成功である。社是や社訓や社員規定などの明示的規範で社員が動くのではない。その企業が持っている暗黙の価値判断基準と行動法則(黙示的規範)に従うのである。これがマイナス傾向の悪しき規範であると企業は衰退する。どんなことがあっても創造的かつプラス思考の、ベンチマーキングを価値判断基準とする企業体質に変換しなければならない。2019年の世界のイノベーション代表企業はこのベンチマーキングの実践企業である。

 

組織機能図を考える時に、お客様を上に持ってくる逆ピラミッドの考え方が大切である。社長が一番下ですべてを受ける考えにすれば、現実の諸問題もよく分かるようになる。普通の企業の組織図は社長が上でお客様が描かれていない。CSを実現したければ逆ピラミッドの考え方を定着させることである。真のCSを実現し、お客様の信頼を得ると、それが企業の発展につながる。企業が順調になると、社員や働くすべての関係者の満足(ES)も実現できる。それがさらにやり甲斐になり、新しいCSを実現するという善の循環ができる。経営者はこの善の循環が起きるように、また良き黙示的規範が構築できるように、さらに全関係者が発揮する力のベクトル(合力)化ができるようにしなければならない。CI、すなわち企業体質の変革を通じて心と行動の革新をしなければならないのである。

 

2良い社長、良い会社

社長の仕事は「うまくいく」ように環境と仕組みをつくることにある。うまくいかないのは経営がまずいからである。社員が本気で考え、行動する、燃える集団をつくらねばならない。しかし、今はすべてが中途半端な企業が多い。社風も、仕組みも改革しなければならない。この改革は社長の仕事である。社長が変わればすべてが変わる。うまくいかず、会社が旧態依然なのは社長の姿勢がそうだからで、先ず社長から変革しなければならない。自主・自立・自責企業に変革しなければ勝ち残ることができない。

 

そして企業が継続・発展するためには強い本物の幹部・管理者を育てねばならない。幹部・管理者の仕事は三つの役割と三つの任務を果たすことにある。三つの役割とは①経営方針の翻訳者、②仕事の設計者、③問題解決者であること。三つの任務とは①業績・目標の達成、②部下育成、③燃える集団づくりである。幹部・管理者は与えられた職位でそれぞれの役割と任務を果たさなければならない。

 


3真のマネージメント

マネージメントとは人・モノ・カネ・企業体質を使って「うまくやる」ことである。マネージメントは管理であり、監理ではない。企業ミッションに基づき、明確で具体的な目標を設定(事行計画書作成)し、PDCAのマネージメントサイクルを回し、問題解決手法を実践し、目標を達成することである。目標なき集団は烏合の衆で衰退していく。目標を実現するために計画Pをたて、徹底的に実践Dし、途中で進度管理Cをし、最終ゴールを目指して実行Aしなければならない。しかし現実は常に問題が発生する。そのため問題解決の連続線上に成功があるといえる。強い企業はこのPDCAのマネージメントサイクルと問題解決手法の実践がうまいのである。

 

(2020年6月 25日 日本住宅新聞掲載)