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人活経営、燃える集団形成を!

連載48・49回で人活経営のポイントを書いたが、再度重要な点についてまとめておきたい。 

 

    良き「人と企業風土・文化」づくりを

多くの企業に社是・社訓があるが、文章化されていない「黙示的規範」というものがある。会社の暗黙の価値判断基準であり行動様式で、この規範をプラス発想の良い規範にすると良い企業体質(風土・文化)が確立できる。モノ・カネ・情報・ノウハウは良き人、良き企業風土についてくる。

「CS実現」ができ「企業の発展」が現実のものになると「ES・社員満足の実現」や「社員の幸福」が達成される。これが「善の循環」であるが、善の循環を作り出す要素は良い黙示的規範があることである。良い黙示的規範を作り出すうえで大切なことは、会社の事業運営を行う機能図を「お客様が頂点に立つ機能」を明確にしておくこと。そのうえで「会社の経営方針」を明確にすることである。

 

基本方針に基づき業務実践するのがマネージャである。マネージャは経営方針の翻訳者であり、仕事の設計者であり、問題解決者である。マネージャがしっかり仕事をすると実務力が向上し、ベクトルの合力が最大になる。組織は燃える集団となり、協働・共感・共有が実現する。

 

    一長一短の組織

企業の組織が硬直しているとうまく業務が進まない。典型的組織にピラミッド型と文鎮型がある。表現通りの組織であるが、創業者で率いられる組織は文鎮型が多い。命令指示型で、創業者が元気な時は大変機能する。創業者の意思決定が即伝わり、実行に移すのも早い。そのためツボにはまると業績も急成長する。

 

ただいい時は良いのだが、経営者が急死したり、病気などで引退したら途端に企業が回らなくなる。文鎮型の問題はここに危険性がある。それは何故か、問題は二つある。一つは人材不足が多い。言われて動ける人材はいるが、考えて行動できる人材が少ないこと。横並び組織で役職も社員も同列に扱われて管理不在の組織になっている。そのため創業者に続くリーダーやマネージャが育っていないために経営に行き詰まることが多い。

二つ目は組織が硬直しているか、組織が機能していない。いつも創業者の顔色を見て他部門のことを理解しない体質であること。そのため他部門との協調性がなく批判的関係になっていてギクシャクしていること。ひどいのは自己都合ばかりで顧客無視になっていることが多い。

 

創業者が元気なうちに後継を決め若干の組織形態とその運用を準備していく必要がある。住宅ビジネスはシステム産業であり、チームプレイ産業でもあるため、強烈な個で率いる形態から低層の組織に移行していき、組織的運用ができる人材を育成していくべきである。

一方、重層のピラミッド組織はこれからの時代には向いていない。

 

    燃える集団づくり

 

これからの経営は人活経営、人の能力を活かす経営である。それには善の循環が起きるよう燃える集団をつくることだ。燃える集団をつくるには「ミッション」が絶対に必要である。企業ミッションとは、経営ビジョン・理念のコンセンサスを築き、それを全社的行動に結びつけたものである。このミッションがないと燃える集団は築けない。

 

企業ミッションを確立したうえで燃える集団を築くには、企業が目指す「目標と戦略プラン」をつくり「わかりやすい業務とそのプロセス」を築き、「成果の評価と適正な処遇」を実施すること。一方で「相互理解・信頼にもとづく意思統一」を図り「社員の声・参加」を尊重し、「やる気の障害を取り除いた」「仲間と仕事の価値を共有」できる素晴らしい仕事の環境を作り上げること。この2つの活動の流れにより燃える職場、即ち「燃える集団」が作り上げられる。燃える集団ができると「らしさ」は自ずと出来上がる。


    善の循環活動 

発展・順調組と苦戦・停滞組はますます差が広がる傾向にある。こうしたなかで勝ち残りを目指すには、発展・順調組は、CSCDCT実現の追求とベンチマーキングの実践を徹底すること。苦戦・停滞組は行動しない変わらない企業であるため、実行第一主義を徹底させ、思い切った改革・革新を積極的に行う必要がある。『行動しない、変らない企業は滅亡する』という勝ち残り原則をはっきり肝に銘じる必要がある。

 

発展・順調組には共通して善の循環があること。善の循環は、「現実を直視する」「プラス発想・ポジティブ思考で行動する」「シンプルに考える」「アクション・実践する」「ベストを尽くす」「良心を信じ従う」「自律責任だが負けない」「コミュニケーションを大切にする(よい人間関係を築く)」「時を大切にする」を実践するなかで実現することもよく理解しておく必要がある。

 

計画的な経営を行う鉄則は、必ず目標を掲げPDCAのマネージメントサイクルを廻すことと問題解決手法の活用である。決してPlan遊びをしてはいけないし、DoDoめぐりをしてはいけない。

(2021年3月 25日 日本住宅新聞掲載)