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「ミス・ロス・ムダ」は CSも信頼も利益も なくしてしまう

1. ミス・ロス・ムダによる大きな損害発生

 

ミス・ロス・ムダはCSも信頼も利益もなくしてしまうので、徹底的に防止・排除しなければならない。未熟や不注意や不誠実でミスやロスやムダが起こる。連絡ミス、指示ミス、確認ミス、打合せミスなどでトラブルやクレームが発生する。営業ミスや、設計ミス、積算ミス、施工ミスや、検査ミス、さらには引継ぎミスなどでもトラブルやクレームが発生する。このトラブルやクレーム解決のために大変なエネルギーの投資を余儀なくされる。解決のために担当者も責任者も精神的に追い込まれたり、時間的にも肉体的にも苦痛をしいられることになる。

 

さらにもっと悪いことは解決のためにお金が余分にかかることである。CS実現のためなら価値もあるが、逆の問題解決だけのためだけでありムダ金である。直接費用がかかるだけではなく、経費も余計にかかる。そして致命的なのは、これがたとえ解決しても信頼の喪失は計り知れない。

 

ミス・ロス・ムダによるダメージは大きい。喜ぶ人は誰もいないし価値もない。ミス・ロス・ムダはどんなことがあっても防止・排除していかなければならない。

 

未熟によるミス・ロス・ムダに対しては、標準化とシステム化をはかり教育・トレーニングを徹底することと、マネージメントを強化することで防止・排除をする。また不注意や不誠実によるミス・ロス・ムダがないようにするために、働き甲斐のある環境づくりに努め、組織の活性化を図り、燃える集団化に努めることである。

 

実践では各部門の専業の品質を上げることが大切である。営業・設計・工事などの専業実務内容の明確化と、その実践行為の品質の徹底・向上と、生産性の向上をはかることである。あわせて営業・設計・工事・アフターの各部門への引継ぎシステムの確立と正しい引継ぎの徹底を行うことである。

 

 


ミス・ロス・ムダは、全体としておなじミスの繰り返し、クレーム対応の悪さ、コスト意識の欠如にあらわれる。これは意識づけ不足と、問題解決・向上不足と利益管理不足によって起こるものである。

 

営業でのミス・ロス・ムダは値引き・サービス(商品の弱さ・弱い営業)や、連絡ミス(ポカ)、契約での確認ミスなどで起こり、これが確実な原価アップとクレームの発生を高めている。

 

設計では設計ミス(不適切・作図ミス)、打合せミス、記入ミス、引継ミスで確実な原価アップとクレーム発生につながり、工事に重大な支障をきたすことになる。

 

積算ミスでは確実な原価アップになる。

 

工事では施工ミス(不良)、管理・手配ミス(品質・工程・原価)、報連相打ミス、工期遅延、残・ダメありの引渡し、追加変更の対応ミスなどがある。これにより値引きの発生、確実な原価アップと工期遅延、クレームの発生につながる。

 

2. ミス・ロス・ムダの排除・防止の徹底を

ミス・ロス・ムダの防止や排除には標準化、システム化、組織化が必要である。全体ではミスの重点チェックによる防止、クレーム分析とフィ―ドバックによる改善、利益に対する意識付けと評価ポイントの導入、徹底した教育が必要である。

 

営業では強い商品開発、ベストセールスシステム構築とスピード営業での競合排除、契約立会い制度・最終確認立会い制度による確認が大切である。

設計では完全な敷地環境調査とヒヤリングによる設計(プラン・デザイン)の実施、作図・CADの充実、文書による記録と確認、期限前の完成した図面と完全な仕様書による確実なる引継ぎが大切である。

 

積算では積算基準・積算システムの構築とそれに基づく積算の実施が大切である。

 

工事では事前発注システムによる発注、品質管理(工程別・工種別品質管理)の徹底、総合手配・先行管理表による事前手配と管理、標準工程表と個別工程による工程管理と残手直し工事0の引渡し、追加変更システムの構築と確実な実施、個別原価制度と発注検査連動支払いシステムの実施が重要である。

 

工務店・ビルダーはいつもミス・ロス・ムダの発見に努め、仕事・作業の品質を上げることに最大限の努力を払う必要がある。

(2020年4月 25日・5月5日 日本住宅新聞掲載)