· 

できたのが品質であり工期である

1、三つの満足実現を

工事三大条件を必達するためには事前準備をやりきることである。

 

    チームによる品質

管理では品質管理の内容と基準の明確化と実践、引継ぎシステムの実践―設計の強化、パートナーとの協働・共感・共有の一体化を図り、工程別・工種別品質管理を徹底実践することである。

②科学的工程管理は工種別時間工程表(歩掛り)を作成し、ネットワーク工程表に反映し作成する。そして、この工程表に基づいて工程管理を実行することである。

③先行管理をすると物事はうまくいくことが多い。その中で「品質を上げればコストは下がる」と認識して仕事を進める必要がある。一つ一つの行為の品質が上がればミス・ロス・ムダはなくなる。徹底して仕事の品質を上げるよう先行管理を徹底することである。

 

2、怖い現場監督の工事管理力

 

今、現場が怖い。ほとんどの工務店・ビルダーの現場管理がずさんであり、できたのが品質であり工期である。社会問題化している欠陥住宅は氷山の一角であるが、大半はお客様も企業側も気がつかないか、企業側が問題が起こらないから良いとしているだけである。

 

現場監督のレベルは千差万別であるが、全般には低い現場管理力であるといえる。知識未熟での仕事従事であるにもかかわらず、いきなり現場管理をさせられチンプンカンプン。その結果、完成処理だけが目的の惰性管理になり、さらに品質チェックリストによる管理はせず、経験と勘と記憶による我流の工事管理にとどまっている。

 

3、急がれる標準化・システム化

 

一方、企業側に現場監督をサポートするシステム・仕組みが必要であるにもかかわらず、標準化・システム化が希薄であり、マスターさせるための研修制度もない。さらにチェック機能も希薄であり、問題解決手法も動いていない。現場監督の評価もCSなどの貢献評価はせず、処理数のみで工事管理評価はないのと同じである。標準化・システム化の希薄が、品質もCSも利益も低下させていることに気がつかなければならない。

 

4、あいまいさの工事管理基準

 

詳細がわからないあいまいな工事管理内容であり、指導も十分になされていない中で工事が行われている。品質管理においても標準施工詳細図(構造・意匠のディテール)がなく、品質基準や品質管理のやり方が決められていないか、あいまいである。これでどうやって管理しろというのか、経験と知識の乏しい若い現場監督は職人に負けて現場管理ができないのは当然である。

 

工程管理は標準詳細工程表がなく、工程・工期・歩掛り・人工数があいまいであり惰性で行っている。もちろん標準詳細工程表はない。正しい進め方が守られず、完成した時が工期である。現状では工期遅延も、無理な工事のしわ寄せも起こるのは仕方がないことである。

 

原価管理も同じで積算基準がなく、発注システムも明確でない。積み上げ方式であり、材工の不明確、原価管理のやり方もあいまいである。これでは利益も出ない。

 

労務管理も同じで職人との関係も明確でなく、技能レベルや基準・身分関係もあいまいである。資材関係も資材の知識が不十分で、受け入れや適正判断力のあいまいさが問題を引き起こしている。         また安全管理においては安全意識が低く、安全対策もあいまいであり、危険な現場が多い。

 

これらはいずれも企業側の姿勢が悪いもので、標準化やシステム化がなされず、個人技に頼っていることによるものである。大半は訓練されていない現場監督による管理や、あいまいな管理が行われている。ひどい言い方をすると非合理的で無責任な、惰性と慣習による管理であるといえる。

 

これからは住宅会社としてできるだけ速やかに基準を決め、あいまいさを解決して良品質が当然になる工事管理にあたらなければならない。


5、弱いマネージ力の強化を

このような状況の時、せめてマネージャが適切に指導をすればマシであるが、悪いことに輪をかけて何も指導も管理もしていないのでひどい状態である。改めねばならない!

 

 

(2019年8月 25日 日本住宅新聞掲載)