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設計力強化法

設計力の強化は緊急を要する。営業設計力は受注力をつけ、実施設計力は工事力を強化する。

強い営業チームを構築し、業績向上させるには、設計力の強化を除いては不可能(特に中高級住宅)である。

 

1. 組織による設計力強化法

 

設計力の強化法には二つの道がある。組織による強化法と、個人による強化法である。

 

①受注したお客様からその選定された理由を、②逃客になった選択されない理由を、③CS調査による満足度分析のなかで設計の満足度を、④入居1年後の住み心地満足調査による満足度の把握を、それらを通じて何が良かったのか、何が悪かったのかをしっかり把握する必要がある。

 

①・③においては意匠・デザインが良かったからなのか、性能や住み心地が良いからなのか、それとも間取りプランが良くて喜ばれたからなのか、または対応が良かったからなのか、それともその他の要素で選ばれているのかをしっかり分析しなければならない。

 

逆に②のケースでは何故なのか? その分析をしっかりし改善につなげなければならない。これらの分析なくして今後の設計力強化と受注を伸ばすことはできない。

 

④については、お客様の住み心地を知らずして設計の何たるかがわからないということである。設計した時と現実の生活様式がまったく予想もできないほどギャップがあったり、使い勝手が悪くて不満だらけの時もある。このような不満を改善しなければ②の逃客につながっていく。

 

①~④の調査で良いものはさらに強化してさらに強く、悪いところや弱いところは改善をするようにしなければならない。

 

オピニオンリーダーといわれる人たちに耳を傾けることも、ひとつの方法である。

オピニオンの方へのアンケートやグループミーティング(Focusグループ)での貴重な意見を設計改善に反映する必要がある。また住宅やオフィス・店舗などの優れたデザインを参考にすることも重要である。

 

住宅という狭い範囲で設計を考えるのではなく、これからの住宅として何が一番良いのかという広い視点から設計を捉えねばならない。

これと同じように海外の優れた建築物も参考にしなければならない。

当然、他社からも学ぶことも多い。

 

強化すべき点や改善すべき点、また学ばなければならない点がわかったら、次にそれを改善・強化する努力をしなければならない。社内のスタッフだけで解決向上・強化できるのであればそれでよいが、できない場合は外部の力を借りてでも実施しなければならない。優秀な設計者がいる企業は「らしさ」のある住宅で結構がんばっているものである。

 

現実の設計業務のなかでデザインレビューをしている会社がある。担当の設計者だけでなく上司や他の部門の人が、設計されたものを評価するミーティングである。ここで多くの目でチェックを受けるわけで、お客様や街・地域にも歓迎されるものになる。

 

設計力を強化するには繰り返し、繰り返しの学習・訓練が必要である。経営者は設計が個人の問題だけではなく組織の問題でもあることを強く認識して、教育・訓練などに積極的に投資しなければならない。


 

2. 個人による設計力強化法

 

ただいくら組織をあげて学習・訓練しても、個人の自覚がなければ成長するものではない。

 

個人の感性を磨く必要がある。①いろいろな文献や資料からの習得、②住宅雑誌からの習得、③住宅展示場の中からの習得、④他社の優れた住宅からの習得、⑤店舗やオフィスからの習得、⑥海外の優れた建築物からの習得などがある。

 

センス・感性を磨くためには何も住宅分野に限る必要はない。

美しい芸術作品からも学べるものである。美しいものや良いものに興味を持ち、それを肥やしにして成長することができる。

 

設計のレベルが住宅の質を決め、価値も向上させる。

設計は感性と知識・知恵と技術である。

 

会社も個人も、全力で設計力強化に努めねばならない。

 

(2019年1月 25日 日本住宅新聞掲載)