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業務フローの確立と業務プロセス管理が肝

    業務の標準化とその実践を!

業務というのは、いろいろな立場・職種の人がそれぞれの仕事をおこない、それをつなげていくことで成り立っている。住宅会社の場合、この流れは一見どこの会社も同じように見えるが、実は会社ごとに異なり千差万別といえる。

 

各企業において実際には各部門や各人がバラバラなやり方をしているケースが多く、結果的にうまく廻らないという現象も生じている。そして最悪は営業・設計・工事の各部門のコミュニケーションが悪く、感情的対立までおこっている企業が多くある。

 

ではどうしたらいいのか?その答えが「業務の標準化とその実践」である。標準化とはその時のベストをまとめたもので、都度進化していくものであり、画一化ではない。

 

営業であれば顧客発見から集客、初回面談から契約に至るまで、また引き渡しまでのフォロー。ローコスト系ではプラン提案・見積提出・契約までなど各社によって大きく異なっている。

 

設計であれば敷地環境調査、ヒアリングからプレゼン、図面作成など、また使用する仕様の打ち合わせなど、これも各社で異なっている。

 

工事であれば工程管理、品質管理やお客様立会いなどの業務があるが、これも積算・発注、原価管理、引き渡し後のアフター・クレーム管理までやる企業もあり各企業で様々。

 

これらの業務がシステム化されないままの慣習や、担当者次第になっていたら、各業務が停滞やトラブルが起こるのが日常的になる。問題が起こらねば幸いで、生産性もCS実現も悪化する。また同じトラブルや混乱が起こる。現実に違算も多く発生して得るべき利益の喪失になっている。また社員のモチベーションも低下していく。退社する社員も増える。こんなまずい状況では未来が見えなくなる。何としても仕事がやりやすい環境をつくらねばならない。そのために業務の標準化とシステム化は絶対条件である。

 

    業務の標準化により業務の流れを決める

標準化による業務フローをつくり上げるには、日常に行っているこれらの業務内容のすべてを洗い出し、それらの仕事をつないでいくという作業が必要である。それにより業務フロー・流れができる。

 

会社によっては、各部門が主張しすぎてまとまらず業務フローがいつまでたってもできないことがある。各部門の我を張る声が大きいと標準化は難しい。でもそれを乗り越えていかないと、これからの厳しい環境では勝ち残れなくなる。決意して取り組んでほしい。何が必要で、何は不要といった取捨選択もしていくことで業務の流れがわかりやすく、実行しやすくなり、ベクトル(合力)が成立して成果も大きくなる。

 

そしてこの業務標準化によるフローを作成し、そこにある各工程の業務の内容を一つ一つ明確にしていくこと。流れだけでなく、各段階で実行する業務の内容を明確にし、各部門・各人がそれをきちんと実行していくこと、これがすべてである。

 

仕事をうまくやるには、仕事はわかりやすく内容も程度も進度もわかりやすくシステム化・標準(見える化・わかる化・実行できる化)することが重要である

 

それには全員に「標準化・システム化」が作業の質と生産性を向上させる優れた手段であることをよく理解させた上で、次の流れで取り組むことである。

 

1.業務フローを確立する

仕事の流れと誰が責任を持ってその仕事を行うのか、役割分担を明確にする。そして、仕事の内容、やり方をはっきりわかりやすく示す。さらに、業務帳票を整備し、正しい書き方、使用方法をまとめる。

 

2.業務の行動原則化マニュアル化を図る〜前記の業務フロー~

帳票整備までを行動原則化し、さらに文章で説明したマニュアルを整備する。マニュアルがないと新人が加わるたびに1から教えなければならず、効率が悪くなる。

 

3.徹底したトレーニグ・訓練を実施する

仕事の標準化は一人ひとりの勝手なやり方を排除するものだ。従ってその浸透には徹底した訓練が必要である。訓練が中途半端だと標準化は失敗し業務が停滞する。文章作成だけだと100%失敗する。

 

4.評価とフィードバックを行う

標準化した作業は概して数値で成果が見えるようになる。その成果を公正に評価すること、さらには新たに改善することを現場にフィードバックさせることが、標準化・システム化をより良い形に発展させるために重要である。

 

標準化したといえども改善―バージョンアップの繰り返しになる。常に進化・深化・新化していくことが必要である。


   業務の進度管理である業務プロセス管理の徹底を!

そして業務フローに基づく業務の実践で、その業務が段階別に、内容別に、時間別に適切に行われているかどうかを確認することが必要で、これが業務のプロセス管理である。各部門・各人がチームになり業務のプロセス管理に基づき、業務をきちんと動かせれば成果抜群になる

(2021年2月 25日 日本住宅新聞掲載)