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工程別・工種別 品質管理の徹底

 

1品質管理の厳守

品質管理体制を築くうえで重要な要素が工程別・工種別の品質管理であるが、大切なことは、現場の施工にかかわるすべての大工・職人、協力業者が「品質基準」を理解し、その品質基準に基づいた施工を行うことを全員が認め合意したうえで仕事をするということである。そして現場にかかわるすべての大工・職人、協力業者が責任を持って品質基準に合う施工を行うことである。

 “馴れ合い”にせず、その工事を行った施工業者の責任(工事費用が発生する場合は負担のもとに)で工事のやり直しを行い、納め直させるという厳しい原則を施工業者と会社が相互に確認し、徹底し合い、緊張感をもって仕事をすることが大切である。

 

2工程別・工種別品質管理の徹底

工程別・工種別品質管理の徹底で良品質の実現は当然のことながら、工事三大条件(①工期厳守、②残手直し工事0、③現場きれい)を必達しなければならない。

そのためには現場監督がどのタイミング(工程・工種)の時に現場に行き、何をどうチェックするのかを明確にする必要がある。このことを決めている工務店はほとんどない。

会社側も現場監督が現場に行っていると一生懸命頑張っているという評価をするが、実におかしなことである。現場監督は工程のなかで必要な時に現場に行けばよいのであり、不必要な時には現場に行かなくてよいのである。しかし、監督は必要に迫られて、いつも現場に行かなければならないのが実態である。図面ができていないとか、収まりがわからないとか、仕様が明確でないとかで、何回も現場へ行き、打合せ確認を余儀なくされている。

 

現場監督は内容や規模によって異なるが、品質管理のために1現場に最低18回現場に行き品質管理(立会い説明を除く)を行う必要があるーベストは35回。もちろん演出や他の価値ある戦略としての現場訪問は重要であることはいうまでもない。

 

また現場監督の品質チェック内容が明確にされていなければならないが、これもほとんどの工務店で明確でない。品質チェックリストがあればまだ良い方で、ないところもあり、本当に何を考えて住宅ビジネスをやっているのかと疑いを持つところが少なくない。またチェックリストがあるからといってOKではなく、現場監督の考え方で大きく品質管理レベルが異なる。会社としての品質基準を決めていなかったり、検査方法の訓練や整合性を取っていないために同じチェックリストがあっても、まちまちの住宅ができあがるのが実態であり、問題が多い。

 

良品質の実現の流れは「品質基準確立」→「検査実施」→「不良の発見」→「不良の分析」→「品質改善」であるが、もうひとつ良品質の実現を図るのに有効な方法がある。「残・手直し工事」の撲滅で、「残・手直検査不合格の場合は工事を厳正にやり直させることが重要である。それには検査をして「不合格」だった場合の是正処置、修正の方法をきちんと決めておくこと。手戻り工事はムダなコストを作り出す要因で、住宅工事の中で発生するトラブルとして数も多いため、現場監督の品質管理として最優先の解決課題である。

 

住宅業界のバブル後遺症で「こなし」が中心となり品質もCSもずたずたになっていて問題が多いのが現実である。今、工務店・ビルダーも施工する人々も原点に戻って仕事をする必要がある。

 

施工する職人・業者が責任をもって施工する、工期も品質も自信を持って後ろ工程に引き継いでいく、これが職人・業者の原点である。会社側も職人・業者の工事完了・自主検査に基づき、その職種の検査を行い、合格であればその工事に対する支払いを了解し、不合格であれば修正を命じ修正されたことの確認を持って支払うという原則にすべきである。途中過程で十分な検査をせず、木工時とか完成時に検査してその時に発見した部分だけを手直しをしていることがほとんどであるが、こんな馬鹿げたことはない。

 

途中過程の検査なしで、竣工検査などでまとめてやることはジェスチャーに近く、真のCS工事をやっていないと自覚すべきである。

 

(2020年1月 5日 日本住宅新聞掲載)