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● 今月の塾長提言

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   今、健康が必要なことを改めて問う!

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〇日本人の健康意識が低すぎる

 

皆さんは自分のことを健康と思っていますか?

OECD(経済協力開発機構)が公表している「より良い暮らし指標」によると、

日本の寿命はOECD加盟国中最も長いにもかかわらず、自分の健康状態を良いと

答えた人の割合は35.5%ほどしかなく、諸国平均値の70%程度に比べ大きく下

回っています。対照的に、平均寿命は加盟国中最も長く、長生きなのに健康を

実感できないという皮肉な状況です。

 

また、患者一人当たりの平均入院日数は加盟諸外国が10日未満なのに対し28.5

日と圧倒的に長く病院にかかる日数も多いというのが日本の現実です。一人当

たり生涯医療費が2600万円で、30年前と比べて“3倍”で今後も増え続けます。

少子高齢社会が進む日本ではこれらがさらに切迫した問題になることが明らか

で、将来の日本に重くのしかかっていることは皆さんもご存じのことでしょう。

 

寿命だけでなく、名実ともに健康であるといえるような世の中をつくっていく

ことが求められています。

 

〇長年、良い家づくりを探求してきた結果にある健康

 

業界に長年携わってきましたが、当初から健康に着眼していたわけではありま

せん。CS(顧客満足)を実現のために、良い家づくりを長年追求してきまし

た。現場キレイを推進し、良い材料を用い、良い施工をすることで、良い家づ

くりを実現してきました。しかし、1990年代のシックハウス症候群問題やアレ

ルギーの蔓延などの社会問題が明るみになる中で、良品質住宅を追求し家族の

幸福の城を実現する想いで取り組んできたにもかかわらず、住宅が病気の原因

になっていることを知りました。そこから住宅における健康について、空気や

電磁波など環境に関するテーマから、素材、間取りの問題に至るまであらゆる

要素を探求しました。今では、住まいで健康を実現するためには「温熱環境」

「適正素材」「抗酸化」に加え、「健康快適設計」の4条件が必要であること

を突き止め、体系化することができました。

 

これも、良品質住宅を提供し家族の幸福の城を実現するという首尾一貫した取

り組みによるものです。

 

〇住宅と健康への探求は道半ば

 

今では解決したように思われている節もありますが、どうでしょう。アレルギ

ーは日本人の国民病ともいえる状況、子供も発達障害など昔は耳慣れなかった

言葉が当たり前になってきました。若いうちにガンになる人も増え続けていま

す。テレビでも健康の話題が多くなる一方です。前述のように、自分を健康と

思っている人が35.5%だとすれば、その残りの大多数64.5%は健康を求めてい

ると考えることもできます。

 

今の住まいづくりはほどほどが良いという風潮もありますが、健康要素は万全

を期していくべきです。日本中の健康意識の低さを改善し、将来明るい未来を

つくるうえで、住宅は大きな使命を負っていることも知っていただきたいと思

います。

 

社会が少子高齢化、成熟社会、この業界も長いバブルが終わり、量産多売の時

代はまもなく終わります。限りがすでに見えてきました。健康は住まい手の幸

せと財産を守り、社会の健全性を守り、そして国が抱える問題を解決する。す

なわち健康に貢献する住まいづくりが求められていることははっきりしていま

す。ぜひ、皆さんも健康への取り組みを進めていただきたいと思います。