事例発表から見る二極化市場対策

5月の月例研究会は、「二極化する顧客を知り、営業手法・スタイルを考える

!」としておこないました。価格層や顧客層にあわせ、商品から営業手法も変

えていかなければなりません。

 

今回は、特に富裕層、中高級層をターゲットにしている2社に、その戦略や営

業のやり方などをお話いただきました。

 

 

◆質へのこだわり

 

横浜の工藤建設(株)様は、商圏が富裕層のとても多いエリアで、地下室とい

う大きな特長がある企業です。

 

基本的には「質」を重視し、例えばHPは施工事例にこだわり、写真もプロの

カメラマンが撮影、そして画像も質を最優先に加工されているそうです。また

資料は、しっかりとした質のカタログをお渡しするとともに、手作り資料も用

いてオンリーワン感を印象づけることもおこなっておられます。

 

 

例えば、ポイントとなるところに付箋を貼ったり、コメント入れたり、アンダ

ーライン引くなどの演出をします。また、なかなか連絡がつかないお客様には、

担当者を変えることで新鮮さを与え、新たな動きを期待することもあります。

 

 

営業は、1週間に2件の新規顧客との接点を持つことをノルマとしており、そ

こから来場予約を取るようにしています。ここに執着心を持つように教育もお

こなっておられています。来場者には初回接客を2時間以上、そして次アポを

取ることを徹底されています。また接客時には、30分に1回の状況報告を入れ

るようにしています。これは資料を取りに行くなどを利用して報告し、課題を

その場で解決しているというスピード感も持たせております。社内で打ち合わ

せしていることを最大限に活かす方法です。

 

 

これまでは地下室付き住宅をメインに販売しておられましたが、地下室が必要

ないお客様にも販売し棟数を増やしていくために、幅広い顧客をターゲットと

した新しい商品を開発して地下室オンリーからの脱却を進めておられています。 

 

 

 

◆富裕層への対策

 

新潟の(株)ナレッジライフ様は、富裕層向けに対して、DESENというモデルハ

ウスを建築しました。これまでは3000万未満くらいの顧客層が主ターゲットで

したが、DESENは、概ね5000~7000万ぐらいの層を想定しております。

 

顧客層としては、会社経営者かお医者様などであり、対応できるのがハウス

メーカーだけでないことを認知させることが重要になります。もっと上の層は設

計事務所に依頼することが多いですが、その下あたりを狙っています。また、

新築だけではなく、リノベーションのお客様も獲得したいと考えておられていま

す。

 

この顧客層に対する訴求力を高めるために、その売り方・提案の仕方をさらに

深く考えられました。

 

 

イベントは、いつもと違い趣のあるものにトライされました。

例えば、スポーツアウトドアのイベント、夜に開催するフラメンコのイベント、

陶器などの販売会、高級和菓子の店とのコラボしたお茶会、新潟のプレミアム

なお酒を出す会などです。

 

中村社長が富裕層向けにやってきて気づかれたことは、

 

・暮らし方の中に色々なヒントがあるということ
・今までとは違うものを理解する力が必要なこと
・ヒアリング、カウンセリングをできる力が必要なこと
・家事スペースも快適性をさらに求められること   などです。

 

このようなことを知るために、女性雑誌に目を通しておられます。
そこには憧れる暮らしが表現され、たくさんのヒントがあるとお話されていま
した。


またこの層は、頼んだら「安心して」任せられると思っていただけるかという
点も大事で、そのために、自社の「らしさ」を明確にし商品を磨くとともに、
特に対応力を強化させることを重視しておられました。富裕層対策として、
従業員のマナーや知識を向上させること。そのために学ぶ機会を積極的に

設けることを考えていかねばなりません。

 

 

 

 

◆自社の家づくりをもっとよく知ること

 

自社の市場を踏まえ、顧客層に合わせた商品・デザイン、そして対応力を備え

ていますでしょうか? 

 

そして、自分たちのお客様がどう評価しているかを考えたことがありますでし

ょうか?提供しているものとお客様の評価とのギャップを埋めるために、何が

評価ポイントなのかを知り、それを強化していくことが大切です。

 

 

 

そして、何より自分たちが提供している家づくりをもっと信じましょう。

腑に落ちているならば、ツールなしでもトークができるようになります。

 

今回は、特に中高級や富裕層向けの対応についてお話ししていただきましたが、

もっと普及型やローコストとなると、対応の仕方が異なってきます。どちらか

というと販売的なやり方となってきますが、品質や現場など最低限のことはや

らなければなりません。自社がどこを狙うのか、それらを明確にしたうえで、

対応の仕方からツールまでもっとよく考えてみてください