CS経営のパイオニア企業から学ぶ持続的成長の鍵
「熊本に新産住拓があってよかった」という存在価値を目の当たりに。
11月20日、熊本の新産住拓株式会社様を訪問し、BM(ベンチマーク)視察会を開催し、
当日は、全国各地から多くの工務店・ビルダーの皆様にご参加いただきました。
今回は40年にわたる弊社とのお付き合いの中で、持続的に成長を遂げてこられた源泉として、
CSの徹底実践、そしてそれを実践する社員の成長と働き甲斐のある組織、
それをもたらす理念経営、といった点を中心に取り組みを教えていただきました。
本レポートでは、とりわけ視察会の中心となった小山英文社長の講演を軸に、当日の内容を振り返ります。
小山英文社長「人を残す経営」
「会社はお客様のためにある」をどう経営で実践してきたか
冒頭、小山社長はまず創業者の想いと「創業理念」から話を始められました。
会社はお客様のためにある
住まいづくりを通して地域社会に貢献する
このシンプルな言葉を、60年にわたって経営のど真ん中に置き続けてきたこと。
ここに新産住拓の一貫した歩みがあります。
創業者・小山幸治氏は、戦後の厳しい時代に
「家族を支えてくれた地域の人たちに恩返しがしたい」という想いから警察官となり、
その後「住まいづくり」を通して地域貢献を目指して新産住拓を立ち上げました。
小山社長は、そのバトンを受け継ぐにあたり、
このようにお話しされました。
創業者は“会社”を残した
自分は“人”を残すことをテーマにしている
会社を残すのは第一世代の役割、人を残すのが第二世代の役割。そして以降へ。
この言葉に、参加者の多くに刺さるものがあったのではないでしょうか。
「損得より先に善悪を」──企業文化としての商売十訓
続いて紹介されたのが、新産住拓の“背骨”ともいえる商売十訓。
その冒頭を飾るのが、損得より先に善悪を という一文です。
・それは本当にお客様のためになっているか
・目先の売上や効率だけで判断していないか
判断に迷ったときには、ここに立ち返る。
この十訓は、理念とともに価値判断の基準として隅々まで浸透し、
日々の現場で生きている文化なのだと感じさせられました。
「技術の前に心あり」──人づくり
新産住拓の大きな特徴のひとつが、「技術の前に心あり」を掲げた人づくりです。
高校生の段階から受け入れ、社員大工として育てる制度
“うまい職人”ではなく、“お客様の暮らしに責任を持てる人”を育てる姿勢
小山社長は「技術だけでは長くは続かない。心と技術の両方を備えた人財こそ、会社の財産」と語ります。
ここでも、“会社を残す”から“人を残す”へのシフトがはっきりと見て取れました。
ESがCSのベースにある──「人を大事にするから、お客様も大事にできる」
講演の中で、社長が何度も強調されていたのが、
CSのベースには「人」がある。
社員が理念に共感し働きがいを感じ、
一丸となってCSに取り組める環境づくりこそが、経営の土台である。という考え方です。
その言葉どおり、人財育成に積極的に投資され、
評価や制度だけでなく、「ありがとう」を伝え合う仕組みや、
社員が顔色をうかがうことなく自分の意見を表に出せる仕組み等、
人間関係を温める取り組みを続けておられます。
ES(従業員満足)とCS(顧客満足)をセットで見ていく
といった形で、ESを出発点としたCS経営を実践しています。
社員が自分の仕事に誇りとやりがいを感じ、会社の理念に共感しているからこそ、
お客様に対しても自発的に一歩踏み込んだ行動ができる。
この「人を大切にする経営観」が社内全体に浸透していることが、
講演の言葉の端々から伝わってきました。
規模ではなく「熊本になくてはならない会社」を選ぶ
数字で見ると、新産住拓様は地域トップクラスの住宅会社です。
しかし、小山社長が語られたのは「もっと大きく」という話ではありませんでした。
熊本からエリアを広げない
リフォームでもホームオーナー様からの注文が7割を切るような“量だけの成長”は追わない
アフターサービス日本一を目指し、「この地域に新産住拓があってよかった」と言われる存在を目指す
“規模”ではなく“存在価値”
その確かな軸が、持続的成長を支えていることがよくわかる内容でした。
持続的成長を生んでいるもの
CS評価制度も長年取り組んでこられ、紹介情報・紹介受注も増え続けておられます。
創業者が会社を残し、その会社の中に、
社長が「人」と「文化」を残していく。
ESを特に大切にし、社員みんなが働き甲斐を感じられる環境を整える
その社員たちが一丸となってCSに取り組む
その積み重ねが、お客様との信頼関係を太くし、
紹介とリピートを生み、持続的な成長につながっていく
今回の講演は、塾長の言う「善の循環」を、
まさに実例で示していただいている感がありました。
逆境も糧に、徹底的に人を大事にする
第2部 「建てた後が本当のはじまり」
第2部では、取締役副社長小山大輝さんから、リフォーム・アフターを中心としたライフサポート事業についてお話しいただきました。
結婚・子育て・マイホーム・子どもの独立・シニアライフ…と続く人生のステージ
そこに寄り添い続ける「暮らしのサポート」を事業として位置付ける考え方
6,000棟のOB様が、リフォーム・メンテナンスの大きなポテンシャルであること
など、「建てて終わり」から「建てた後こそ本番へ」という発想の転換が印象的でした。
全社員で年2回行う「ひまわり訪問」、オーナーズクラブ、ふれあい祭、
メンテナンスセミナー、Teachme Bizによるマニュアル整備など、
さまざまな取り組みが、“紹介とリピートで成り立つ会社”を支えています。
第3部 災害対応とBCPの取り組み
第3部では、専務取締役植松様より
災害対応・BCP(事業継続計画)の取り組みについてご講演いただきました。
熊本地震や水害の実体験をもとに、「暮らしを守る会社」の在り方が語られました。
熊本地震では、多大な被害があっただけでなく社員自身も被災者です。
自宅の被害、断水・停電、車中泊や避難所生活を送りながらの対応でした。
このお話しで一番に印象に残ったのは、
トップの「震災発生直後の宣言」です。
営業活動ストップし事業計画を白紙に戻し、
権限を現場に委譲し声を聞きながら方針を柔軟に変更等の項目とともに、
一番に響いたのは、「社員を疲労や事故で一人も離脱させない」を最重要方針とする。
ということです。
ただCSを追求するだけでなく、社員をまず大切にする。
そして「短期の利益より、長期の信頼を守る」という
新産住拓様らしい姿勢がはっきりと表れていました。
「皆がひとつになる」ことで、ホームオーナー様から頂く課題も共有いただきながら、
熊本地震からの復旧を経て、経験をBCPの改善に活かしておられます。
特に災害時には「人」が最も弱いところであり、
同時に企業の力の源泉でもあると語っておられましたが、
だからこそ、「理念と未来像をいかに浸透させるか」が重要であるとも。
CS・ライフサポートの取り組みが「平時の信頼づくり」として、BCPは「有事の信頼づくり」。
どちらも、ホームオーナー様の暮らしと社員を守る両輪であることが、印象深いものでした。
第4部 理念浸透と人財育成
「働きたい会社NO.1」を目指す組織づくり
総務部長の松永様から、理念浸透と人財育成のしくみについてご講演いただきました。
「会社はお客様のためにある」という創業理念
「住宅会社から幸せ創造企業へ」「働きたい会社No.1」というビジョン
それらを日常の中で浸透させるため、
朝礼から記念日、幹部合宿や1on1 などの仕掛け
ES調査や福利厚生、カレーの日、家庭訪問、「ありがとうのWA」など、
人と人との関係性を温める具体的な取り組みも多数紹介されました。
また、第三者評価に基づき自社の課題を明確にし、それを徹底的に改善しより良い会社を目指す姿勢。
ここでもやはり軸になっているのは、
社員一人ひとりの人生が豊かになることが、会社の目的・存在価値と重なっているかどうか
という視点です。
まとめ
創業者は会社を残し、社長は人を残す。
ESを土台にしたCS経営が、持続的成長をもたらしている
今回のご発表を通して、改めて印象に残っているのは、
創業者が残した「会社」と「理念」
その中で社長が残そうとしている「人」と「文化」
ESを出発点としたCS経営と、ライフサポート・人財育成の仕組み
これが会社の揺るがない軸になっていることでした。
CSのベースにはESがある。
塾長が昨今盛んに伝えている内容が熊本で体現され、
社員が皆、働き甲斐のある環境で、自分の仕事に誇りを持ち、一丸となってCSに取り組む。
そのような経営観が会社全体に浸透し、
結果として、紹介とリピートに支えられた持続的成長を生み出している
新産住拓様の姿は、そのことを具体的に示す実例と言えます。
“人”を残していく経営。
今回のBM視察会は、参加された工務店・ビルダーの皆様にとって、
自社のこれからの10年・20年を考える大きなヒントになったのではないでしょうか。
新産住拓株式会社の皆様、そしてご参加いただいた皆様、
貴重な学びの機会を本当にありがとうございました。





