クローズアップ --工務店が今考えるべきこと--

良品質施工をおこない、長く住み続けられる家づくりを供給する!

 


3月の月例研究会は、「工事管理」がテーマでした。良品質な家づくりになる
かどうか、施工に左右されます。施工技術力とともにそれを管理する側の能力
も高めていかなければなりません。


○建物の品質と寿命を考える

建物は安全が保たれていなければなりません。「建物としての基本的な安全性
を損なう瑕疵」とは、居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような
瑕疵というように決められています。しかし、「別府マンション事件」と言わ
れている裁判では、「現実的な危険がなくても、いずれ生命や財産への危険が
現実化する欠陥も賠償する責任がある」と業者の責任をより具体的に示したと
いう判例もでました。これは、構造躯体に関わらず例えば外壁の剥落なども危
険と判断されれば、これは不法行為責任が問われI民法上の不法行為責任が追
及されるということです。

「基本的安全性を損なう瑕疵」とは、具体的には次のような内容です。
 ①構造耐力に関わる瑕疵
 ②構造耐力には関わらないが、放置すると人身被害につながりうる瑕疵
 ③構造耐力には関わらないが、放置すると健康や財産が侵害されうる瑕疵
よって、雨漏り被害や、外壁のタイル落下による人的被害は、20年の責任とい
うことになります。このような判例が出ましたので、今後は、不法行為責任を
問う訴訟が続発する可能性があります。業者側からすると厳しい判決と言わざ
るを得ません。

ところで、日本の住宅は、スクラップ&ビルドを繰り返してきました。世界的
に見ても日本の住宅の平均寿命は欧米に比べると極端に短くなっております。
しかし、メンテナンスをおこない悪いところを補修していけば、建物とは半永
久的に持つはずです。

住宅の寿命が短いということは、エネルギーから考えても問題です。ライフサ
イクルエネルギーという概念では、①建築材料をつくるエネルギー、
②建設時のエネルギー、③生活をする上でのエネルギー、④解体するエネルギ
ーの4段階を合計したエネルギーのことを言います。このライフサイクルエネ
ルギーを最小にするには、住宅を長く使用することしかありません。よって、
エネルギーという観点からも長く住み続けることを考えていかなければなりま
せん。


○施工トラブルを無くして良品質施工を

100年にわたり住み続けるには、まずは雨漏りのしない家づくりが必要です。
雨漏りは、雨量・風向き・風速・継続時間が関係してきます。通常の上から降
ってくる雨では大きな問題ではなく、風が強い時などの下から上に向かって降
る雨は要注意です。最近流行の軒の無い家は、外壁に当たる雨量が多くなり、
当然リスクは高くなります。

雨の漏れにくい家にするには、その対策が重要です。同じ平面プランでも、屋
根・軒先などの形状を工夫すれば、雨の漏れにくい家にすることは可能です。
施工については、危ない箇所だけを集中的に対策すれば、現在の技術力・施工
力があれば、雨漏りを防ぐことは充分可能となります。雨漏りが発生すれば、
必ず施工上の不具合があるということです。

雨漏りがしない施工をするには、次のように2段構えて考えることが重要です。
 ①雨水が建物に入らない工夫(1次防水)をする。
  →1次防水:屋根材・板金・シーリングなど、外から見える部分
 ②もし、雨水がはいったならば(2次防水)本体を傷めないうちに速やかに
  排出する。
  →2次防水:捨て板金・下葺き材(屋根:アスファルトルーフィング、
   外壁:透湿防水紙・アスファルトフェルトなど)、外から見えない部分

トップライト・ドーマー・煙突・換気トップ・下屋・棟・隅棟・谷などの何ら
かの取り合いがある場合は、雨漏りに関しては条件が悪くなります。雨水を滞
留させることなく、速やかに流してしまうのが基本です。勾配の緩い(3寸未
満)屋根が採用される場合は、雨水の流れは悪くなります。屋根に穴を開け、
突起物(トップライト・ドーマー・煙突等)など障害がある場合には、下葺き
材の増し張りなどの補強対策が必要です。また、浮いたタッカーは雨漏りの原
因になりますので、勾配のある野地板に対し直角に打つのが基本です。また、
3面交点となる箇所では、充分な対策が必要です。


世の中には施工不良の物件が数多く存在しております。悪質なケースとしてお
こなっているもののほか、知識や経験不足からなる施工不良がとても多いので
はないでしょうか? これらの事例をしっかりと把握し、これからの良品質施
工に役立ててください。